ひとことで言うと
多施設臨床研究で集める臨床検体を、EDCシステムと連携して匿名化し、臨床情報と結びつけて管理できるシステムを開発した研究。
Keywords
システム、多施設研究、EHR、医用画像、臨床検体管理
なぜこの研究をしたのか
多施設臨床研究では、病理組織や血液などの臨床検体を患者から取得し、特定の研究機関で集中的に管理・解析することがある。その場合、検体は他施設へ送付されるため、患者情報を匿名化して管理する必要がある。また、検体情報は、臨床研究で収集される臨床情報や被験者IDと結びつけて管理する必要がある。しかし、患者情報を匿名化するだけでは、臨床情報と紐づいた効率的な検体管理は難しい。
どう調べたか
著者らは、電子カルテと連携して臨床情報を収集するEDCシステム CDCS と連携する、臨床検体情報管理システムを開発した。
このシステムは、各医療機関に設置するサイトサーバと、研究機関に設置するセンターサーバで構成される。サイトサーバはEDCサイトサーバから患者IDと被験者IDを取得し、被験者IDと紐づく検体管理用IDを生成する。各施設で採取された検体には、検体管理用IDを含むラベルを付けて研究機関へ送付する。
システムでは、研究患者ID、プロジェクト患者ID、被験者ID、臨床検体IDを用いて、臨床検体とEDCシステムで収集された臨床情報を連携・管理する。
何がわかったか
大阪大学医学部附属病院にシステムを設置し、113件の病理検体を用いてワークフローを検証した。その結果、EDCシステムで発行された被験者IDが、臨床検体情報管理システム内で臨床検体IDと連携して登録されることを確認した。
また、被験者IDを用いてEDCシステム上の臨床情報を確認できることも検証された。
なぜ大事なのか
EDCシステムと検体管理システムが別々に存在する場合、検体情報を管理するために対応表を別途作成する必要がある。今回開発されたシステムを使うことで、臨床情報と検体情報を効率的に紐づけて管理できる。
さらに、著者らが以前開発した医用画像収集システムと組み合わせることで、臨床情報、医用画像、臨床検体情報を同じ被験者IDに基づいて統合管理できる可能性がある。
次に目指すこと
本研究では、システムのワークフロー検証は単施設で実施された。今後は、多施設でのワークフロー検証を行う必要がある。また、ワークフロー管理に関するIT標準への準拠も考慮する必要がある。