大阪大学医学部附属病院 医療情報部

Mission & Scope

研究室について

医療情報部/医療情報学教室として、診療・研究・教育を支える医療情報基盤とデータ活用の取り組みを紹介します。

Department of Medical Informatics, The University of Osaka Hospital / Medical Informatics, The Graduate School of Medicine, The University of Osaka.

医療情報部 / 医療情報学教室について

研究室概要

当研究室は1987年に開設され、初代:井上通敏教授、二代:武田裕教授、三代:松村泰志教授を経て、現在に至ります。当研究室の教官が附属病院医療情報部を併任し、阪大病院の病院情報システムを担当しています。附属病院医療情報部と連携しながら、良質な医療データベースの構築、機械学習手法による医学知識を獲得と臨床応用を目指して研究を行っています。

研究の柱

  • ICTによる多施設共同研究データの効率的収集
  • Personal Health Recordによる健康・医療情報の連携とデータ二次利用
  • 自然言語処理による診療情報の構造化
  • 医療データベースからの機械学習による知識獲得
  • 臨床意思決定支援システム

病院情報システム

 大阪大学医学部附属病院では2010年1月、ペーパレス電子カルテを目指し、病院情報システムを更新しました。本システムでは、「病棟ワークフローを支援するシステム」をキーワードに、新たに「指示システム」、「To-Doシステム」を導入しました。これらのシステムは、データの入力支援およびデータの二次利用を可能とする「テンプレート入力システム」によって実現しています。

ペーパーレス電子カルテ・DACS

診療記録文書統合管理システム(Document Archiving and Communication System:DACS)は、我々が提唱したコンセプトで、診療情報をデータ単位ではなく文書(Document)単位で管理する診療記録の保存システムです。さまざまな診療情報を文書単位で管理することで、診療記録の電子保存に関する要件(真正性・見読性・保存性の担保)を満たし、長期的に診療記録を見読性を確保して保存します。電子カルテで作成される全ての文書を統合的に管理し、文書を時系列に文書種ごとに閲覧する事が可能です。また、簡単な操作で指定した期間の全ての診療録情報がある指定した順番で紙に出力する機能を持っています。

データの二次利用・DWH

私達は、これまで病院情報システムを構築しながら、臨床研究に必要とするデータを分析用のデータベース(データウェアハウス)に移して管理してきました。現在、14億レコードの巨大なデータベースとなり、1日40万レコードが追記されています。 私達は、このデータベースを利用して、薬剤疫学、医療経済などの研究に取り組んできました。

 後ろ向きコホート研究の方法を確立し、データベース内に必要なデータがありさえすれば、前向き臨床研究を模擬した研究を、1週間程度でできることを示してきました。前向き臨床研究には、長い時間と手間がかかります。日頃の臨床で気づいた仮説を、このデータベースを使って検証し、良い結果が出そうであれば、前向き臨床研究を企画して進めていくのが、これからの効果的な臨床研究の進め方ではないかと考えています。

 また、データマイニング手法を使って、仮説自身を発掘することもできると考えています。 また、多施設共同研究を推進する方法の開拓は、世界的に関心の高いテーマです。大規模病院での電子カルテシステムの導入事例は日本では珍しくありませんが、海外では、先進国でもまだ稀です。電子カルテシステムによって、多施設共同研究を支援する方法の確立が期待されていますが、日本は、この分野で一歩リードできる立場にあります。一方、日本では、様々なタイプの電子カルテシステムが広まっています。どの部分をどのように標準化させてこの目的を達成していくのかは、大いに知恵を絞るべきところです。

臨床研究支援・OCR-net

我々は、大阪大学医学部附属病院が臨床研究中核病院として取り組む多施設臨床研究支援として、OCRネット(大阪臨床研究ネットワーク)協定医療機関の電子カルテと連携し、電子症例報告書、医用画像、臨床サンプルを効率的に収集する仕組み、レセプト、電子カルテデータを共通のSQLで収集する多施設共通データベースを構築しています。

OCR-net

情報銀行・PHR

Personal Health Recordの一つである医療情報銀行の実証研究を行っています。医療情報銀行では、個人がスマートホン等を用いて、健診、診療・看護・介護情報や、自覚症状(Patient Reported Outcome)、Life Logなどを管理し、個人の意思に基づき情報を共有する仕組みを目指しています。患者さんと研究者が情報銀行を介してつながることで、研究課題ごとに個別同意(ダイナミックコンセント)を取得し、研究を行うことが可能となります。医療情報銀行には患者生涯のデータが収集されるため、単施設のデータでは明らかにできなかった新たな知見を得ることが可能となります。

decile

機械学習・自然言語処理

機械学習手法を用いて、知識獲得に積極的に取り組んでいます。OCRネットでは、医用画像とそれに対応する臨床情報を大量に入手することができるため、深層学習による画像解析による自動診断や疾患予後予測などの研究を行うことが可能です。

 また、自然言語処理技術を用いた情報抽出にも積極的に取り組んでいます。すでに、画像診断レポートの病変や部位情報などの情報抽出に成功し、OCRネット多施設共通データベースに組み込んで、臨床研究に活用しています。

関係抽出・診断支援

医学教科書やインターネットから、疾患-症状関係の抽出に取り組んでいます。疾患-症状関係を用いると、診断支援システムを構築することが可能となります。医療ではエビデンスに基づく治療が展開されていますが、診断は医師個人の経験に頼っているのが現実です。診断支援システムにより、経験の少ない医師でも正しい診断を行うことができるようになります。