大阪大学医学部附属病院 医療情報部

Achievement Detail

Classification of Diagnostic Certainty in Radiology Reports with Deep Learning

深層学習で放射線レポートの診断確信度を分類する

年度
2024
タイプ
学会発表
キーワード
AI(機械学習), 医療従事者支援, 放射線レポート, 自然言語処理
Authors
Kento Sugimoto, Shoya Wada, Shozo Konishi, Katsuki Okada, Shirou Manabe, Yasushi Matsumura, Toshihiro Takeda
Journal
Stud Health Technol Inform. 2024 Jan 25;310:569-573. doi: 10.3233/SHTI231029.
学会
MEDINFO 2023
開催地
Sydney, Australia
PMID
38269873
doi
10.3233/SHTI231029

ひとことで言うと

放射線レポートに含まれる所見や臨床的に重要な記載について、診断の確からしさを5段階で分類し、深層学習モデルで高精度に自動判定できることを示した研究。

Keywords

放射線レポート、診断確信度、AI(機械学習)、自然言語処理、医療従事者支援

なぜこの研究をしたのか

放射線レポートでは、異常構造や臨床的に重要な所見を伝えるために、しばしば曖昧な表現が使われる。たとえば「肺癌を示唆する」「肺癌より炎症性変化らしい」といった表現の違いにより、臨床医がレポート内容を誤って解釈する可能性がある。また、レポートを二次利用する際には、否定された所見や不確実な所見を除外する必要があり、この曖昧さが課題となる。

どう調べたか

診断確信度を、definite、likely、may represent、unlikely、denial の5段階に定義した。大阪大学医学部附属病院の放射線情報システムに保存された2010年から2018年の日本語胸部CTレポート118,078件のうち、540件をランダムに選び、深層学習モデルの学習と評価に用いた。

3名の医学生が、レポート内でハイライトされた観察所見および臨床所見の語句に対して、事前定義された確信度クラスを付与した。アノテーションの不一致は多数決で解決し、多数決で決められない場合は臨床医が解決した。540件のレポートでは、合計4,485個の観察所見および臨床所見の語句がアノテーションされた。

分類モデルにはBERTを用いた。対象語句の範囲をモデルに示すため、対象語句の前後にエンティティマーカーを挿入し、各語句について診断確信度クラスを予測した。

何がわかったか

深層学習モデルは、strict metricでmicro F1-score 97.61%を達成した。denialクラスのstrict F1-scoreは98.89%であり、否定表現の検出において高い性能を示した。

一方で、may representクラスとunlikelyクラスは、definiteやdenialに比べてstrict metricでのF1-scoreが低かった。ただし、隣接するクラスの違いを許容するrelaxed metricでは全体のF1-scoreが98.91%となり、全クラスでF1-scoreが向上した。

なぜ大事なのか

放射線レポートに含まれる曖昧な診断表現を自動的に整理できれば、臨床医によるレポート解釈の誤りを減らす助けになる。また、否定的または不確実な所見を識別できるため、放射線レポートを二次利用する際のキュレーション済みデータセット構築にも貢献しうる。

次に目指すこと

本研究の限界は、単一施設のレポートのみを用いてモデルを学習・評価している点である。汎化可能性を確認するためには、施設外のデータセットを用いた研究が必要である。