ひとことで言うと
患者が複数言語で回答した電子問診を、病院情報システム上に構造化データとして保存し、日本語の電子カルテ経過記録へ引用できる仕組みを実装した研究である。
Keywords
システム、患者支援、EHR、自然言語処理、多言語対応
なぜこの研究をしたのか
医療問診を含む患者報告アウトカムへの関心が高まっている一方で、患者回答を病院情報システムへ電子的に取り込み、構造化データとして二次利用するシステムの報告は少なかった。また、来院患者の母語が多様化しており、外国語対応も必要とされていた。
どう調べたか
多言語対応の電子問診システムを開発・実装した。患者は、病院情報システムのネットワークに接続されたタブレットで識別用QRコードを読み取り、電子問診に回答する。電子問診はWebアプリケーションであるため、患者自身のスマートフォンを使って自宅から回答することもできる。
回答データはXMLデータとして電子カルテサーバーへ送信され、保存される。日本語版の電子問診は、英語、中国語、ベトナム語へ翻訳された。質問形式は、数値を入力する質問と、単一または複数選択式の質問で構成された。
医師が経過記録を作成する際には、日本語で作成された電子カルテテンプレートを起動し、電子カルテサーバーに保存された患者回答データから対応する内容を引用する。これにより、患者がどの言語版の電子問診に回答しても、回答内容を日本語の経過記録として記録できるようにした。
何がわかったか
実装後、2021年3月から2023年2月までに5016人の患者がこの電子問診システムを使用した。
そのうち58人が外国語版を選択した。
なぜ大事なのか
患者は、院内だけでなく自宅からも電子問診に回答できるようになった。また、複数言語で入力された回答を日本語の電子カルテ経過記録に取り込めるため、外国語対応と医療記録作成の効率化を両立できる可能性が示された。