ひとことで言うと
退院前の患者説明指導をテンプレートで記録し、データマートとExcel抽出ツールで進捗を一覧化することで、看護師が指導状況を迅速に把握できるようにした実践報告である。
なぜこの研究をしたのか
入院患者が退院後に自宅で安全かつ円滑に生活するためには、患者本人だけでなく父親・母親・その他の関係者にも生活指導を行う必要がある。
一方で、指導項目は多く、対象者ごとに達成度を管理する必要があるため、最大で1260項目の進捗管理が必要となり、自由記載中心の記録では進捗確認や担当者間の引き継ぎ、未達項目の抽出、再指導計画の立案に時間を要していた。
どう調べたか
看護記録用の説明指導テンプレートを作成し、入力データをデータマートに蓄積した。
テンプレートでは、指導項目を手技関連項目と管理関連項目に分け、13カテゴリ・105項目を設定した。達成度は「手技確立」「見守り要」「再指導要」の3段階とし、説明対象者は本人・母親・父親・その他として記録できるようにした。
データマートには、テンプレートデータと入院情報を突合し、患者ID、入院日、退院日、記録日、カテゴリ、指導内容、達成度、説明対象者をリスト化する抽出プログラムを作成した。さらに、達成度と説明対象者の組み合わせを列にしたクロス表を作成するSQLビューを用意し、Excel VBAで患者IDを指定して抽出できるツールを構築した。
何がわかったか
2025年7月の説明指導テンプレートの登録件数は653件で、その内訳は入院患者121件、外来患者532件であった。入院の実患者は44名で、そのうち19名は複数回テンプレートで説明指導を記録しており、最多の患者では12回の登録が確認された。
Excel抽出ツールにより、創傷処置、中心静脈カテーテル、経鼻胃管、気管切開、在宅呼吸器などの項目について、母親と父親それぞれがどの手技を確立しているかを一覧で確認できた。
なぜ大事なのか
この仕組みにより、説明指導の進捗状況をクロス表で可視化し、各項目の最終更新日を確認できるため、どの指導対象者がどの時点で手技を確立したかを即時に把握できる。
患者IDを指定してクリックするだけでデータを取得できるため操作が簡易であり、退院支援計画の立案や未達項目の抽出に有用であった。
また、テンプレートは病院スタッフが無償で改訂可能で、データマートも院内で構築・管理しているため、外部ベンダーへの依存度が低く、継続的な改善とコスト抑制の観点からも有益である。
次に目指すこと
運用開始から日が浅く、院内全体でテンプレート利用が徹底されているとは言い難い。
詳細情報を自由記載で補うケースも多いため、今後もテンプレート項目の追加や設計の見直しが必要となる可能性が高い。
外来患者でも説明指導テンプレートの利用頻度は高く、継続的な指導管理が必要な症例では、入院患者と同様の仕組みを外来に展開する意義がある。