ひとことで言うと
免疫チェックポイント阻害薬治療に伴う免疫関連有害事象を早く見つけるため、患者入力型の電子問診票を電子カルテと連携し、重症度判定と一覧抽出を可能にした実践報告である。
なぜこの研究をしたのか
免疫チェックポイント阻害薬は免疫関連有害事象を引き起こすことがあり、重症化を防ぐためには早期発見と適切な対応が重要である。当院では2022年から看護師による問診介入を行っていたが、介入対象者の増加により医療者の負担が増え、問診内容のカルテ記載や情報共有にも時間を要していた。
どう調べたか
電子カルテのテンプレート機能を基盤としたWeb形式の電子問診票を作成し、病院のタブレットで患者が入力できるようにした。問診票では、呼吸器、消化器、渇き、筋肉、動悸、食欲、むくみ、しびれ、皮膚、眼、こわばりの11項目を扱い、症状の選択状況に応じてCTCAE ver5.0に準拠したGrade判定を行う設計とした。入力内容は電子カルテへ自動転記され、さらにExcelマクロを用いて問診結果を抽出・一覧化し、Grade3以上の患者を確認できるようにした。
何がわかったか
2024年9月から診療科を絞って限定運用を開始し、2025年4月からほぼ全例を対象に運用した。2024年度は2診療科で226件、2025年度は4カ月で1070件の入力があり、開始以降、Grade3以上の患者は109人であった。
問診の所要時間は、電子問診票の導入前は平均4分31秒、導入後は平均1分49秒となり、約3分の1に短縮された。
なぜ大事なのか
電子問診票により問診結果を即時に電子化し、電子カルテへ自動反映できるため、看護師の記録負担を減らしながら、免疫関連有害事象の早期検知と情報共有を進められる。患者にとっても、イラストや分岐型の入力画面により回答しやすい仕組みとなった。
次に目指すこと
現状は院内ネットワーク上で病院タブレットを用いた運用であるが、今後は患者自身のスマートフォンを用いた院外からの事前入力も検討されている。一方で、院外入力で免疫関連有害事象を検知した場合の緊急時対応体制、受付フロー、通知先、監視・責任体制は未整備であり、今後解決すべき課題とされている。