大阪大学医学部附属病院 医療情報部

Achievement Detail

【実践】患者支援アプリにおけるメッセージ送信機能の導入について

患者支援アプリのメッセージ送信機能で、外来診療における患者連絡を効率化する取り組み。

年度
2025
タイプ
学会発表
キーワード
システム, 患者支援
Authors
阪本 陽子、岡田 佳築、小西 正三、藤井 歩美、村田 泰三、向井 頼貴、武田 理宏
学会
第45回 医療情報学連合大会
開催地
姫路市

ひとことで言うと

患者支援アプリ「wellcne」のメッセージ送信機能は、外来診療での呼び出しや個別連絡を迅速化し、患者サービスと職員業務の改善に役立つ可能性が示された。

なぜこの研究をしたのか

外来診療では、診察や検査の進行状況によって患者の呼び出し順が前後し、患者が待合スペースを離れづらいことが課題となっていた。また、追加請求、返金、忘れ物などの個別連絡では電話がつながらず、職員が繰り返し架電する負担が生じていた。

大阪大学医学部附属病院では、2025年5月の統合診療棟への移転に伴い、電子カルテと連携した患者支援アプリ「wellcne」のメッセージ送信機能を導入し、患者満足度の向上と職員の業務負担軽減を目指した。

どう調べたか

対象は、2025年5月7日の導入開始日から7月31日までの約3か月間に、大阪大学医学部附属病院全体で送信されたメッセージである。

送信件数、部署・診療科別件数、内容区分別件数、既読件数を集計し、既読率を算出した。さらに、送信タイミングやメッセージ内容による既読率の差を分析し、患者への情報到達度や運用上の特徴を検討した。

メッセージ送信機能では、病院職員がWeb管理ツールまたは電子カルテから、アプリ登録患者に直接メッセージを送信できる。メッセージはスマートフォンへPUSH通知として配信され、送信者側では既読状況を確認できる。

何がわかったか

約3か月間で送信されたメッセージは8,192件で、既読件数は6,150件、既読率は75.1%であった。自動送信は2,847件で既読率64.8%、手動送信は5,345件で既読率80.7%だった。

手動送信では、アイセンターからの送信が大部分を占め、既読率は81.0%だった。内容別では、当日の診察室案内や検査室への呼び出しが5,169件と最多で、既読率も81.0%と高かった。一方、休診・代診・予約変更などの案内は32件で、既読率は43.8%と低かった。

なぜ大事なのか

患者にとっては、院内の離れた場所にいても診察室や検査室からの呼び出しを受け取れるため、待機中の行動の自由度が高まる可能性がある。

医療現場にとっては、既読状況を確認できることで、必要な場合に限定して電話連絡を行えるようになり、職員の業務効率化につながる。また、MegaOak Cloud Gatewayを用いた暗号化通信とアクセス制御により、センシティブな情報を安全に送信できる点も示された。

次に目指すこと

今後の課題として、手動送信に伴う業務負荷、部署間の活用格差、メッセージ内容や送信タイミングによる既読率の差が挙げられている。

今後は、職員教育、利用状況の分析に基づく運用最適化、他診療科への展開、既読率向上に向けた施策を進め、より包括的で持続的な医療情報伝達手段として発展させることが期待される。