大阪大学医学部附属病院 医療情報部

Achievement Detail

胸部 CT レポートに対する肺癌患者の TNM 臨床分類を自動的に行う自然言語処理を用いたシステムの開発

胸部CTレポートから肺がんのTNM臨床分類を自動化する自然言語処理システム

年度
2024
タイプ
学会発表
キーワード
AI(機械学習), 放射線レポート, 自然言語処理
Authors
西嶌伸郎、杉本賢人、岡田佳築、和田聖哉、小西正三、松村泰志、武田理宏
学会
第44回医療情報学連合大会
開催地
福岡市

ひとことで言うと

肺がん患者の胸部CTレポートから、自然言語処理を用いて臨床的T分類を自動判定するシステムを開発し、test setでAccuracy 66.1%を示した研究。

Keywords

自然言語処理、放射線レポート、AI(機械学習)、肺がん、TNM分類

なぜこの研究をしたのか

肺がんのTNM分類は、治療計画、予後の示唆、治療効果の評価に重要である。特にreal world dataを用いた研究でcTNM分類は患者背景情報として重要だが、胸部CTレポートの非構造部分に含まれるため、二次利用には人手によるレビューが必要となり、時間と人的リソースを要する課題があった。

どう調べたか

大阪大学医学部附属病院で肺がんと診断され、がん登録された患者の胸部CTレポートを対象とした。2019年1月から12月に検査された124例をtraining set、2020年1月から12月に検査された118例をtest setとした。

過去に著者らが開発した、胸腹部に関する文書から深層学習で固有表現抽出と関係抽出を行うシステムを基盤とした。そこに、肺癌取扱い規約第8版に基づき、充実径、浸潤、副腫瘍結節、閉塞性肺炎、無気肺などcT分類に必要な情報をルールベースで構造化するアルゴリズムと、T分類を行う分類器を新たに組み合わせた。

何がわかったか

cT分類の予測性能は、training setでAccuracy 83.9%、test setでAccuracy 66.1%だった。表2では、training setのPrecision 0.91、Recall 0.84、F1 Score 0.87、test setのPrecision 0.81、Recall 0.66、F1 Score 0.72と報告されている。

training setでは、副腫瘍結節、浸潤、無気肺など、サイズ情報以外をcT分類に反映する必要がある複雑なレポートで誤分類が生じた。test setでは、「肺がんを示す所見が抽出できていないこと」や「充実径が正確に拾えていないこと」が多い誤分類要因だった。

なぜ大事なのか

胸部CTレポートからcT分類を自動化できれば、肺がんのreal world evidence創出に必要な患者背景情報の構造化を支援できる可能性がある。一方で、レポート内に原発巣が明示されていない場合など、人の目で確認すべきレポートを選別する必要性も示された。

次に目指すこと

今後は、レポート数を増やすことによる性能向上や、cN分類、cM分類へのスケールアップが期待される。また、実臨床での実装に向けて、自然言語処理で正確に分類できるレポートと、人の目で確認すべきレポートを選別する方法を検討する必要がある。