ひとことで言うと
電子カルテのアクセスログ表示、閲覧制御、画面ロック、入院患者一覧での氏名表示変更により、患者情報の不正閲覧や偶発的な情報把握を防ごうとした取り組みである。
Keywords
システム、サイバーセキュリティ、EHR、患者情報保護、アクセス制御
なぜこの研究をしたのか
電子カルテでは時間や場所を問わず必要な患者情報にアクセスできる一方で、業務目的以外の患者情報も容易に取得できる。職員教育や職種ごとの権限管理、カルテ閲覧制御を行っていても、不正が疑われる閲覧をゼロにできなかった。また、入院患者一覧画面で知人や著名人の入院情報を意図せず知ってしまう可能性もあり、プライバシー保護の強化が必要であった。
どう調べたか
大阪大学医学部附属病院の電子カルテを対象に、2022年のシステム更新時に複数の機能を導入・改修した。具体的には、患者カルテトップページへの直近5人のアクセスログ表示、閲覧制御対象患者に対する「通常」と「VIP」の2段階制御、手動で起動できる画面ロック機能、入院患者一覧画面で表示される患者名を変更できる機能を導入した。
何がわかったか
患者カルテトップページにアクセスログを表示したことで、一般の患者であっても不自然なアクセスログがあった際に医療情報部へ確認依頼が来るようになり、見る側・見られる側双方の意識が高まったと考えられた。
一方で、VIPレベルの閲覧制御や入院患者一覧画面での患者名変更機能は、運用開始後に該当患者の受診・入院がなく、効果の検証は行えていない。
なぜ大事なのか
患者情報のプライバシー保護では、好奇心などによる故意の不正閲覧だけでなく、一覧画面や離席中の画面表示などを通じて意図せず情報を知ってしまう状況への対策も必要である。システムによる支援は、患者を守るだけでなく、不要な情報に触れないようにすることで病院職員を守ることにもつながる。
次に目指すこと
プライバシー保護とユーザの利便性、さらに医療安全は相反しやすいため、臨床への影響を抑えながら必要な制御を行うことが課題である。VIPレベルの閲覧制御や入院患者一覧での患者名変更機能については、実際の適用例がなく効果検証ができていないため、今後の運用実績に基づく評価が必要である。