大阪大学医学部附属病院 医療情報部

Achievement Detail

医薬品の企業報告を支援するための有害事象抽出・入力補助ツールの開発

自然言語処理で医薬品コールセンター情報から有害事象を判定し、企業報告業務を支援する入力補助ツール

年度
2023
タイプ
学会発表
キーワード
AI(機械学習), 自然言語処理
Authors
和田 聖哉、岡本 匡晴、杉本 賢人、松村 泰志、岡田 佳築、真鍋 史朗、小西 正三、佐藤 春香、原 拓也、伊藤 元太、都地 昭夫、武田 理宏
学会
第27回日本医療情報学会春季学術大会
開催地
宜野湾市

ひとことで言うと

製薬企業のコールセンター情報から副作用、妊婦・授乳婦服薬、Special Situationsを深層学習で判定し、目視判定を支援するWebアプリケーションを開発した研究。

Keywords

自然言語処理、AI(機械学習)、システム、有害事象、企業報告制度

なぜこの研究をしたのか

製薬企業は薬機法に基づき、市販後の医薬品・医療機器等の副作用、感染症、不具合等に関する情報を収集し、規制当局へ報告する義務がある。コールセンター情報は年間で数万件にのぼり、まず有害事象等の有無を判定する一次スクリーニングが行われるが、これらの作業は人手で実施されており、膨大なコストがかかっていた。

どう調べたか

塩野義製薬株式会社が保有する2017年6月5日から2021年12月29日までのコールセンター情報257,331事例を対象にした。問い合わせ内容と回答を入力として、副作用、妊婦・授乳婦服薬、Special Situations(SS)を予測する多ラベル分類モデルを構築した。

事前学習済み日本語BERTモデルを初期値とし、コールセンター情報でMasked Language Modelingによるドメイン適合を行ったうえでFine-tuningを実施した。学習データの不均衡に対応するためFocal Lossを導入し、Confident Learningでラベル誤りの可能性が高い2,610事例を除外した。最終的に223,710事例を教師データとして採用した。

何がわかったか

有害事象判定モデルは、副作用、妊婦・授乳婦服薬、SSに対して、それぞれAUC 0.994、0.996、0.976を達成した。感度は副作用97.7%、妊婦・授乳婦服薬98.0%、SS 92.8%であった。

妊婦・授乳婦服薬について、モデルの予測結果と正解ラベルが異なる事例を見直したところ、モデルの判定の方が正しい事例が7件存在した。

なぜ大事なのか

人手で行われている有害事象の一次スクリーニングを自然言語処理で支援できる可能性が示された。特に、人間が見落とした事例をモデルが検出できる可能性があり、企業報告業務の効率化や判定支援につながる。

次に目指すこと

有害事象判定モデルの予測結果を目視判定に活用できるWebアプリケーションを実装した。今後は、本入力補助ツールによる業務改善の検証が検討されている。