ひとことで言うと
遠方の患者や家族が安全にセカンドオピニオンを受けられるよう、通信暗号化、二要素認証、電子カルテ端末のネットワーク分離を組み合わせたオンラインセカンドオピニオンシステムを構築した研究。
Keywords
システム、サイバーセキュリティ、患者支援、EHR、オンライン診療
なぜこの研究をしたのか
セカンドオピニオンでは、遠方の医療機関を受診する必要があり、患者や同席を希望する家族に時間的・費用的負担が生じる。さらに新型コロナウイルス感染症により移動が制限され、移動を伴わないオンラインセカンドオピニオンの必要性が高まった。
一方で、オンラインで実施する場合には、患者情報を外部ネットワーク上で扱うこと、患者や同席者の本人確認が必要であること、説明時に電子カルテ画面を共有する必要があることが課題となった。
どう調べたか
大阪大学医学部附属病院におけるセカンドオピニオン外来の流れをもとに、オンライン化した場合の課題を洗い出した。
そのうえで、以下の仕組みを組み込んだオンラインセカンドオピニオンシステムを構築した。
- 診察中の通信にSSL証明書による暗号化通信と、アプリによるエンドツーエンド暗号化通信を採用
- 利用者情報登録時に、案内用紙の認証コードと診察券の患者IDを用いた二要素認証を採用
- システムログイン時に、メールアドレス、パスワード、ワンタイムパスワードを用いた二要素認証を採用
- 電子カルテ端末とオンラインセカンドオピニオン用端末をビデオエンコーダーで接続し、電子カルテ画面を画像信号として共有
何がわかったか
オンラインセカンドオピニオン中の通信を暗号化し、利用者登録時とログイン時に二要素認証を導入することで、患者情報を扱ううえでの安全性を確保したシステムを構築できた。
また、電子カルテ端末をインターネットに接続せず、ビデオエンコーダーを介して電子カルテ画面を画像として出力することで、電子カルテのセキュリティを担保しながら、医師と患者が同じ画面を見て相談できる環境を実現した。
なぜ大事なのか
このシステムにより、遠方に住む患者が移動時間や費用を気にせず、希望する医療機関でセカンドオピニオンを受けられる可能性がある。
また、患者は来院し、遠方の家族はオンラインで同席するようなハイブリッド形式のセカンドオピニオンにも対応できる。新型コロナウイルス感染症の流行のように移動が制限される状況でも、感染リスクを抑えて相談を実施できる。
次に目指すこと
2022年7月時点では患者からの申込みがなく、実証実験の段階で滞っている状況である。
一方で、ICTの技術向上と普及、患者のITリテラシー向上により、オンラインでセカンドオピニオンや診療を行うニーズは今後増加すると考えられる。