大阪大学医学部附属病院 医療情報部

Achievement Detail

心臓CT画像から心房細動を検知する機械学習モデルの構築

心臓CT画像の左心房3次元形態から心房細動を検知する機械学習研究

年度
2024
タイプ
学会発表
キーワード
AI(機械学習), 医用画像
Authors
薛 飛、小西 正三、和田 聖哉、杉本 賢人、岡田 佳築、松村 泰志、武田 理宏
学会
第28回 日本医療情報学会春季学術大会
開催地
木更津市

ひとことで言うと

心臓CT画像から抽出した左心房の3次元画像を用いることで、左心房容積のみを使う方法より高い精度で心房細動を検知できることを示した研究。

Keywords

AI(機械学習)、医用画像、心臓CT、心房細動、左心房

なぜこの研究をしたのか

左心房は複雑な形態をした心腔であり、種々の心疾患との関連が報告されている。一方で、左心房の3次元CT画像から心房細動を検知する研究は十分に行われていなかった。

どう調べたか

まず、心臓CT画像から左心房を抽出するセグメンテーションモデルを構築した。日常診療で施行された造影心臓CT画像153症例を用い、14例に手作業でラベル付けを行ったうえで、半教師あり学習モデルによりプレ・ラベルを作成し、それを手作業で修正して全症例の正解ラベルを作成した。その後、教師あり学習により2.5次元NU-Netを用いた左心房セグメンテーションモデルを構築した。

次に、2020年1月から2023年8月に心臓CT検査を受けた患者から、心房細動39例と洞調律49名の心臓CT画像を用いて、心房細動の検知モデルを作成した。比較対象として、左心房容積のみを特徴量にした単純ベイズ分類器と、3次元左心房画像を用いた3次元ResNet50による深層学習モデルを構築し、5分割交差検証で評価した。

何がわかったか

左心房セグメンテーションでは、半教師あり学習モデルでテストセットのDice係数0.970、教師あり学習モデルでDice係数0.989に達した。手作業で全てのラベル付けを行う場合は1症例あたり約2時間を要したが、プレ・ラベルを修正する方法では1症例あたり5〜30分であった。

心房細動の検知では、左心房容積のみを用いた単純ベイズ分類器の平均AUCは0.835であったのに対し、3次元左心房画像を用いた深層学習モデルの平均AUCは0.921であった。慢性心房細動および発作性心房細動のRecallは、それぞれ85.2%、70%であった。

なぜ大事なのか

半教師あり学習と教師あり学習を段階的に用いることで、小さいラベル付けコストで高精度な左心房セグメンテーションを行えることが示された。また、3次元左心房画像を用いた深層学習モデルが、左心房容積のみを用いる方法より高い検知性能を示したことから、左心房の3次元形態には容積以外にも心房細動の検知に有用な因子が含まれる可能性が示唆された。

次に目指すこと

本研究では心房細動検知に用いた症例数が少ないため、今後は症例数を増やした検証が必要である。