ひとことで言うと
紙で運用していた食嗜好質問表と食行動質問表を電子問診票化し、回答の集計・レーダチャート化・診療録保存までを効率化した取り組みである。
Keywords
システム、医療従事者支援、患者支援、EHR、栄養指導
なぜこの研究をしたのか
栄養指導では、患者の食の好みや食習慣を把握することが、食生活の見直しや栄養状態の改善に重要である。
しかし、従来の紙の質問票では、回答結果の転記や集計に手間がかかり、栄養指導当日に患者へ結果をフィードバックすることが難しかった。
また、集計結果を診療録として保存できていないことも課題であった。
どう調べたか
食嗜好質問表と食行動質問表を、電子カルテのテンプレートをWebアプリケーション化した電子問診票システムに実装した。
患者はiPadで回答し、医療スタッフが確認・確定登録すると、回答データが電子カルテのテンプレートデータベースに保存される仕組みとした。
さらに、文書作成システムでExcel形式のフォーマットを作成し、電子問診票の回答データを引用して自動集計できるようにした。
集計結果はレーダチャートとして表示し、過去3回分の回答結果と院内で集計した基準値も同時に描画できるようにした。
何がわかったか
電子問診票の運用開始後、2023年4月から4カ月で116人の患者が利用し、食嗜好質問表・食行動質問表それぞれ177件、計354件の文書登録があった。
文書を起動してデータ取得ボタンを1回クリックするだけで、質問票の結果を自動集計し、レーダチャートとして表示できるようになった。
これにより、栄養指導の待ち時間に質問票へ回答し、栄養指導時に結果を患者へフィードバックできるようになった。
なぜ大事なのか
患者にとっては、自分の食嗜好や食行動をレーダチャートで視覚的に把握でき、栄養指導の内容を理解しやすくなる。
医療者にとっては、転記・集計の負担や転記ミスを減らし、短時間で正確な指標を算出できる。
また、質問票の個別回答、指標の集計結果、レーダチャートを含む文書を診療録として保存できるため、電子カルテ上で記録を一元的に管理できる。
次に目指すこと
電子問診票では、紙の質問票と比べて質問表全体を見渡しにくく、設問をスクロールしながら回答する必要があるため、回答漏れや戻り操作に関する課題がある。
導入後まだ4カ月程度であり、栄養指導を受けた患者への具体的な評価は難しい段階である。
今後データが蓄積されることで、食嗜好質問表と食行動質問表を電子化した効果を検証できると考えられている。