大阪大学医学部附属病院 医療情報部

Achievement Detail

PHR における eKYC を用いた医師アカウントの開設

eKYCを用いて医師本人確認と医師資格確認を行い、PHR上で患者が医師へ診療情報を共有できる仕組みを実装した研究。

年度
2023
タイプ
学会発表
キーワード
PHR, システム, 医療従事者支援, 患者支援
Authors
小西正三、岡田佳築、和田聖哉、杉本賢人、松村泰志、武田理宏
学会
第43回医療情報学連合大会
開催地
神戸市

ひとことで言うと

医療情報銀行に医師アカウントを新設し、eKYCと医師免許番号確認によって、患者が自身のPHRデータを医師に安全に見てもらう仕組みを構築した。

Keywords

PHR、eKYC、患者支援、医療従事者支援、システム

なぜこの研究をしたのか

今日の医療では、ひとりの患者が複数の医療機関を受診することが少なくない。研究グループは、長期にわたって患者の手元に残る記録を目指し、民間PHRプラットフォームのひとつである医療情報銀行の構築を進めてきた。

これまでに、アレルギー・禁忌情報、外来処方、検体検査結果などを医療情報銀行に連携し、患者が専用アプリで閲覧できる仕組みを構築していた。一方で、保存されたデータをより有効に活用するには、患者本人が「見る」だけでなく、かかりつけ医などの医師に「見てもらう」仕組みが必要であった。

どう調べたか

医療情報銀行に、患者アカウントに加えて医師アカウントを新たに実装した。

患者アカウント作成時には、なりすまし防止のためにeKYCによる本人確認を行い、医療機関の診療データを連携するため、診察券番号の入力と診察券の撮影・アップロードにより、当該医療機関に通院していることを確認する仕組みとした。

医師アカウント作成時にも、なりすまし防止のためにeKYCを用いた本人確認を行った。さらに、医師資格の確認として医師免許証を撮像・アップロードさせ、厚生労働省のデータベースを参照して実在性を確認する仕組みとした。所属医療機関は医師アカウント開設者が自ら入力し、診療科名と略称は原則として医師届出票における診療科目・略称から選択して登録する方法とした。

患者が家族や医師に診療情報を共有する際には、患者本人がアクセス権を付与する。QRコードを対面で読み取ってもらう方法や、認証コードを用いた方法により、家族や医師が患者の診療情報を閲覧できる仕組みを実装した。

何がわかったか

医療情報銀行において、患者本人アカウントに加えて医師アカウントを創設し、患者の意思により医師へ診療情報を共有する仕組みを実装した。

医師アカウント開設では、eKYCによる本人確認と医師免許番号の確認を組み合わせることで、他人のなりすましや医師資格の詐称を防ぐことに留意した設計とした。

なぜ大事なのか

PHRに保存された診療情報は、患者本人が閲覧できるだけでなく、患者の意思に基づいて家族や医師に共有できることで、より有効に活用できる。

特に医師に共有する場合、医療情報を取り扱うPHRプラットフォームとして、なりすましや資格詐称を防ぐ仕組みが重要である。本研究では、eKYCと医師免許番号確認を用いて、医師アカウント開設時の本人確認・資格確認を行う仕組みを示した。

次に目指すこと

今後は、医療情報銀行の認証基盤としての可能性について検討を進める。

また、患者―家族間、患者―医師間の診療情報共有の仕組みを実装したうえで、データの利活用や利便性向上のため、さらなる機能強化を図る必要がある。医師が診療情報を閲覧するだけでなく、データを登録できる仕組みについても現在開発が進められている。