ひとことで言うと
心臓カテーテル室で使用される医療材料を、GS1標準バーコードとRFIDにより患者ごとに記録できる仕組みを構築し、紙運用の削減と材料管理の効率化を実現した研究である。
Keywords
システム、医療従事者支援、GS1標準バーコード、RFID、トレーサビリティ
なぜこの研究をしたのか
心臓カテーテル室では、症例に応じて多様な医療材料が使用される。院内在庫品だけでなく、預託在庫品や納入業者による持込み品も多く、従来は商品ラベルや連絡用紙などを用いた紙運用が行われていた。
特に預託在庫品や持込み品では、商品名や製品番号などをもとに職員が都度マスタ検索を行い、医事コスト請求や発注処理を実施していたため、人手作業が多く煩雑であった。また、従来の管理用シールでは、使用された医療材料のシリアル番号、ロット番号、有効期限を患者ごとに保存する仕組みが十分ではなかった。
どう調べたか
心臓カテーテル室で使用される医療材料について、GS1標準バーコードを利用した新しい材料管理システムを構築した。
院内在庫品および預託在庫品では、納品または預託時に包装のGS1標準バーコードを読み取り、GTINをキーとして品目マスタを照合した。そのうえで、一意の番号を付与したRFIDタグを発行し、材料の個装に貼付した。
使用時には、RFIDタグを読み取る回収ボックスを心臓カテーテル室内に設置し、開梱後の材料包装を投函することで患者ごとの使用実績として登録できるようにした。RFIDタグが貼付されていない持込み品については、無線バーコードリーダーでGS1標準バーコードを読み取り、品目マスタおよび候補品マスタと照合した。
登録された使用実績データは、医事コスト請求や預託在庫品・持込み品の発注業務に活用された。
何がわかったか
2024年5月から新システムの運用を開始し、当初みられた従来の台紙運用との混乱は約2か月で収束した。
導入後の2024年6月には、使用された材料1867点について、RFIDタグまたはGS1標準バーコードにより患者ごとの使用実績としてデータ化できた。このうち1865点は品目マスタに登録済みであり、医事システムへのコスト登録や発注業務を迅速かつ簡便に行うことができた。
また、使用されたすべての材料について、シリアル番号またはロット番号を含む使用材料情報を患者ごとのデータとして保存できた。
なぜ大事なのか
この仕組みにより、従来の管理用シール、商品ラベル、連絡表などによる紙運用を取りやめることができ、コスト登録や発注作業の効率化につながった。
さらに、GS1標準バーコードには商品識別コード、有効期限、シリアル番号またはロット番号が含まれるため、患者ごとに使用材料情報を記録できる。これにより、特定医療機器以外の医療材料についてもトレーサビリティ向上が期待される。
納入業者にとっても、心臓カテーテル終了後に自社取扱品の使用状況を速やかに確認できるようになり、預託在庫品の数量削減や棚卸業務の効率化につながる可能性が示された。
次に目指すこと
現時点では、使用実績データを医事システムに直接取り込む仕組みは今後開発予定とされている。
また、RFIDタグの性質を活用することで、預託在庫品の残数確認や有効期限確認など、棚卸業務の効率化も期待されている。