ひとことで言うと
電子カルテ内の検査値や薬剤情報を入力フォームから選択・反映できる仕組みにより、副作用報告書の作成時間、転記ミス、主観的負担を減らした研究である。
なぜこの研究をしたのか
副作用報告書の作成では、患者情報、検査値、薬剤情報などを電子カルテから手作業で転記する必要があり、医療従事者に大きな負担となっていた。電子カルテの長時間使用は医師のバーンアウトとも関連するため、報告書作成の効率と正確性を高める仕組みが求められていた。
どう調べたか
研究では、副作用報告書テンプレートに基づく電子入力フォームを作成し、電子カルテ内の検査結果や薬剤情報を対話的に選択してフォームへ反映できるシステムを開発した。図1では、検査項目コード、患者ID、参照期間を用いて電子カルテの検査データベースから結果を取得し、施設ごとのローカルコードや数値形式を変換表で標準化してフォームへ表示する流れが示されている。
6名の医師が、6つの模擬症例について、従来の紙ベースの方法と電子カルテ連携型の方法の両方で副作用報告書を作成した。作成時間、非自由記載項目の入力数、自由記載欄の文字数、薬剤情報と検査値入力の正確性、ならびに主観的な使いやすさ・負担感が比較された。
何がわかったか
電子カルテ連携型の方法では、報告書作成時間が従来法の20.1±2.5分から10.3±1.4分へ有意に短縮した(p=0.03)。一方で、非自由記載項目の入力数と自由記載欄の文字数には有意差がなく、情報量を保ったまま効率化できた。
薬剤情報の正確性は従来法86±14%に対して電子カルテ連携型98±6%、検査値の正確性は従来法93±9%に対して電子カルテ連携型100±0%であり、電子カルテ連携型の方が高かった。また、主観評価では、電子カルテ連携型の方法は使いやすさと再利用意向が高く、フラストレーションと作業負担が低かった。
なぜ大事なのか
手作業による転記を減らすことで、副作用報告書作成に伴う時間的負担と転記ミスを軽減できる可能性がある。施設ごとの検査コードや薬剤コードの違いにも変換表で対応できるため、複数施設での応用可能性も示された。
次に目指すこと
本研究で開発された仕組みは、副作用報告書以外の医療文書作成にも拡張できる可能性がある。医療文書作成業務への応用を広げることで、医療従事者の作業負担を減らし、労働環境の改善やバーンアウト軽減につながることが期待される。