大阪大学医学部附属病院 医療情報部

Achievement Detail

GS1 and RFID Integration for Enhanced Medical Device Traceability in Catheterisation Laboratories

GS1とRFIDを組み合わせ、カテーテル検査室で使われる医療機器の追跡性を高める研究

年度
2025
タイプ
学会発表
キーワード
システム, データ標準化, 医療従事者支援
Authors
Shozo Konishi, Yuma Tanaka, Kento Sugimoto, Shoya Wada, Katsuki Okada, Toshihiro Takeda
Journal
Stud Health Technol Inform. 2025 Aug 7;329:332-336. doi: 10.3233/SHTI250856.
学会
MEDINFO 2025
開催地
Taipei, Taiwan
PMID
40775874
doi
10.3233/SHTI250856

ひとことで言うと

カテーテル治療で使用した医療機器を、GS1バーコードとRFIDを用いて患者ごと・使用順ごとにリアルタイム記録するシステムを開発し、高い記録精度を示した研究。

なぜこの研究をしたのか

心臓カテーテル検査室では、ペースメーカー植込みや冠動脈インターベンションなどで多様な医療機器が使われる。これらの機器は患者に長期的な影響を与えうる一方、医療機器のリコールは発生しており、どのロット番号の機器が、どの患者に、どの手技状況で使われたかを正確に記録することが重要である。既存の追跡制度には対象機器や記録方法の制約があり、長期保管や検索に課題があった。

どう調べたか

病院に納品された医療機器について、個装に表示されたGS1バーコードを読み取り、RFIDタグと紐づけて個装に貼付した。カテーテル検査室にはRFIDタグ読み取り・回収装置を設置し、使用済みの医療機器包装を順番に投入することで、GTIN-13、有効期限、ロット番号、読み取り時刻をリアルタイムに記録した。装置は放射線情報システムと医療材料マスターデータベースにも接続され、患者情報や製品情報を取得した。

記録順序の精度は、2024年8月から9月に実施された予定PCI症例を用いて評価した。医師のPCI手技レポートと血管造影画像から主要デバイスの使用順を確認し、RFIDタグまたはGS1バーコードの読み取り時刻から得られた順序と比較した。一致度はKendallの順位相関係数で評価した。

何がわかったか

この装置は5か月間で568件のカテーテル手技に使用され、9,347個の医療材料が読み取り・登録された。そのうち8,876個、すなわち95%はRFIDタグで読み取られ、残りはGS1バーコードで読み取られた。

予定PCI 21例のうち、主要デバイスが5個未満の5例を除いた16例で解析したところ、Kendallの順位相関係数は0.95±0.12であり、主要デバイスの使用順を高い精度で記録できた。相関係数が0.9未満だった2例では、病院在庫ではなく業者が持ち込んだ機器が使われており、RFIDではなくGS1バーコードで後から読み取られたことが順序のずれにつながっていた。

なぜ大事なのか

このシステムにより、GS1に含まれるロット番号などの医療機器情報を、実際に使用された患者情報と結びつけて記録できるようになった。さらに、使用された順序も記録できるため、医療機器のトレーサビリティを高めるだけでなく、PCI手技の流れを可視化し、教育や手技改善、患者安全の向上に役立つ可能性がある。

次に目指すこと

今後の応用として、記録された時系列データを用いた生成AIによるPCI手技レポート下書き作成、熟練者と研修者の手技順序の比較による教育支援、通常パターンからの逸脱を利用した合併症の早期検出、過去症例との比較によるPCI技術改善が想定されている。

一方で、RFIDタグの導入にはコストがかかる。また、時系列精度の検証では、使用順を手技レポートや画像から正確に判断できないワイヤーやマイクロカテーテルは解析対象から除外された。