大阪大学医学部附属病院 医療情報部

Achievement Detail

アクセスログから見える電子カルテの適切な利用状況調査

電子カルテ端末の画面ロック利用状況をアクセスログから調べた研究

年度
2023
タイプ
学会発表
キーワード
EHR, システム
Authors
向井頼貴、岡田佳築、村田泰三、武田理宏
学会
第43回医療情報学連合大会
開催地
神戸市

ひとことで言うと

電子カルテ端末のアクセスログを解析し、手動ロックの利用は院内通知後に増えた一方で、自動ロックが依然として大半を占めることを示した研究。

Keywords

システム、サイバーセキュリティ、EHR、医療情報DB、アクセスログ

なぜこの研究をしたのか

電子カルテでは、職員が院内のさまざまな場所から診療情報にアクセスできるため、機密性の高い個人情報を守る必要がある。離席時にはログアウトが求められるが、短時間の離席ではログアウトされず、端末が閲覧可能な状態で放置されることがある。そこで、画面ロックを伴う利用やロック解除の状況を把握するため、アクセスログを解析した。

どう調べたか

電子カルテデータベースから、ログイン、ログアウト、手動ロック、自動ロック、本人によるロック解除、他者による強制解除のアクセスログを抽出した。アクセスログには、職種、診療科、部署、端末名、操作日時、操作内容などが含まれていた。調査期間は、手動ロック機能の院内周知前後の変化を見るため、2023年3月〜5月とした。

何がわかったか

2023年3月〜5月のログイン件数は586,415件で、画面ロックを伴う利用は222,686件だった。その内訳は、手動ロック29,402件(13.2%)、自動ロック193,284件(86.8%)であり、画面ロックの大半は自動ロックだった。

手動ロック機能の通知前である3月は、画面ロック73,894件のうち手動ロックが6,079件(8.2%)だった。通知後の5月は、画面ロック76,157件のうち手動ロックが13,158件(17.3%)となり、手動ロックの利用率が上昇した。

なぜ大事なのか

自動ロックが多いということは、画面ロックがかかるまでの30分間、端末が無操作のまま操作可能な状態になっている可能性がある。その間、患者の個人情報が閲覧されるリスクや、他者によるなりすまし操作のリスクが高まる。手動ロックの利用を増やすことは、業務効率を大きく下げずに患者情報を保護する対策になり得る。

次に目指すこと

手動ロックの院内通知は一定の効果を示したが、利用していない職員の方が多かった。今後は、アクセスログの継続的な監視、手動ロック方法の定期的な周知、自動ロックまでの時間の見直し、長時間の画面ロックへの対策が必要である。