ひとことで言うと
臨床研究画像収集システムにより大規模な画像収集は可能だが、機械学習に使える正確なデータ収集には、DICOMタグを用いた条件設定の改善や収集後の絞り込みが必要である。
Keywords
医用画像、AI(機械学習)、システム、DICOM、臨床研究
なぜこの研究をしたのか
多施設共同臨床研究などで臨床画像を収集する際、従来はPACSなどから画像を取り出し、患者識別情報を削除して被験者番号に置き換え、記録媒体でデータセンターへ送付する作業が一般的であり、各施設の負担や収集時間が課題であった。
著者らは、画像の選択、匿名化、送信を自動化する臨床研究画像収集システムを構築してきた。このシステムは機械学習のための大規模な臨床画像データ収集にも応用可能だが、実運用時の課題は十分に検討されていなかった。
どう調べたか
現在運用している臨床研究画像収集システムを用いて、2016年〜2020年の5年間に当院で心エコーを施行した患者を対象に、心エコー前後1か月以内の胸部レントゲン正面像の収集を行った。
病院情報システムから、患者ID、心エコー実施日、条件に合う直近の胸部レントゲン実施日を抽出し、患者ID、胸部レントゲン実施日、被験者IDをCSVファイルで作成した。画像検査モダリティを「CR」として収集条件を登録し、夜間のみシステムを稼働させて画像を収集した。
収集後には、診療科からの要望である「症例ごとに1枚の胸部レントゲン正面像」に合致しているかを確認し、合致しない画像が含まれる原因と対処法を検討した。
何がわかったか
13,180症例を対象に、5日間で24,097枚のDICOM画像が自動収集された。このうち要望に合致した胸部レントゲン正面像は13,156枚、全体の54.6%であった。
対象外画像として、胸部レントゲンの重複が7,197枚、胸部以外のレントゲンの重複が3,554枚含まれていた。重複の主な要因は、同日の胸部レントゲン複数回・複数方向撮影や、同日に胸部以外の部位のレントゲン撮影があったことであった。
DICOMタグを用いた絞り込みでは、「Body Part Examined」による胸部レントゲンの絞り込みは感度100.0%、特異度99.2%、陽性的中率99.9%であった。一方、「Series Description」または「Study Description」による正面像の絞り込みは感度10.3%と低かった。別条件として「Series Time」が最も早い画像で絞り込むと、感度91.6%、特異度99.8%、陽性的中率99.9%であった。
なぜ大事なのか
臨床研究画像収集システムにより、大規模な臨床画像を自動的に収集できることが示された。一方で、患者ID、検査日、モダリティだけを条件にすると、目的外の画像や重複画像が多く含まれることも明らかになった。
機械学習に用いる画像データを正確に集めるには、収集時の条件設定をより詳細にすることや、収集後にDICOMタグなどを用いて画像を絞り込むことが重要である。
次に目指すこと
今後、本システムを用いて大規模画像を正確に収集するためには、収集条件として設定できるDICOMタグ情報を追加するなど、システム上の条件設定を改善する必要がある。
また、収集後に別手法で画像を絞り込むことも必要であり、DICOM情報は有用な候補と考えられた。ただし、DICOM情報の入力状況が精度に影響することや、CTやMRIなど別モダリティでは異なる課題が生じる可能性があるため、機械学習によって収集対象・対象外を分類する手法なども検討する必要がある。