大阪大学医学部附属病院 医療情報部

Achievement Detail

A Hybrid Natural Language Processing Platform for Multi-Site RWD Studies

多施設リアルワールドデータ研究のためのハイブリッド型自然言語処理プラットフォーム

年度
2025
タイプ
学会発表
キーワード
システム, 多施設研究
Authors
Kento Sugimoto, Yasushi Matsumura, Shoya Wada, Shozo Konishi, Katsuki Okada, Toshihiro Takeda
Journal
Stud Health Technol Inform. 2025 Aug 7;329:1230-1234. doi: 10.3233/SHTI251035.
学会
MEDINFO 2025
開催地
Taipei, Taiwan
doi
10.3233/SHTI251035

ひとことで言うと

多施設の放射線レポートを、個人情報を除いたうえで中央GPUサーバーに一時送信してNLP処理することで、プライバシーに配慮しながら高速に構造化できることを示した研究。

なぜこの研究をしたのか

電子カルテから得られるリアルワールドデータは医療研究に有用だが、臨床記録やレポートのような非構造化フリーテキストの統合が大きな課題である。NLPはその解決策として期待される一方、深層学習モデルの利用には高い計算コストがかかる。また、多施設研究ではプライバシー保護やデータガバナンスの観点から、データを単純に中央集約することが難しい。

どう調べたか

研究グループは、6施設で利用する多施設RWDプラットフォーム上に、分散型のデータ保管と中央GPUサーバーでのNLP処理を組み合わせたハイブリッド構成を実装した。各病院の放射線レポートはCSV形式で出力され、患者IDや氏名などの個人情報を除外したうえで中央サーバーへ送信される。中央サーバーでは深層学習ベースのNLPシステムにより、非構造化テキストをJSON形式の構造化データに変換し、各施設がその結果を取得してローカルリポジトリに取り込む。

性能評価では、500件の放射線レポートを用い、中央GPUサーバーで処理する方式と、施設内CPUサーバーで処理する完全分散方式を比較した。

何がわかったか

中央GPUサーバーでの平均処理時間は1レポートあたり0.12秒で、施設内CPUサーバーの平均64.23秒より大幅に短かった。

レポート長が長くなるほどCPUでは処理時間が大きく増加した一方、GPUでは500語超のレポートでも平均0.35秒で処理され、処理時間の増加は低く安定していた。

なぜ大事なのか

この仕組みにより、多施設の放射線レポートのようなフリーテキストデータを、プライバシーやデータガバナンスに配慮しながら効率よく構造化できる可能性が示された。RWDプラットフォームに非構造化テキストデータを組み込むことで、今後の臨床研究や診療データの二次利用を促進できると考えられる。

次に目指すこと

本研究では、自施設のサイトサーバーから中央サーバーへの処理評価のみを行っており、異なる施設間ネットワークを含む多様な環境での評価は行われていない。今後は、異なる環境での検証が課題である。