大阪大学医学部附属病院 医療情報部

Achievement Detail

診断支援の判断根拠に応用可能な医学知識自動蓄積システムの構築

診断支援の判断根拠に使える医学知識を自動で蓄積するシステム

年度
2022
タイプ
学会発表
キーワード
AI(機械学習), システム, 医学知識, 医療従事者支援, 自然言語処理
Authors
和田 聖哉、岡田 佳築、真鍋 史朗、小西 正三、武田 理宏
学会
第42回医療情報学連合大会
開催地
札幌市

ひとことで言うと

疾患名と、その疾患に起因する症状・合併症を含む文をBERTベースの機械学習モデルで自動認識し、医学知識データベース構築を支援する研究。

Keywords

システム、医療従事者支援、AI(機械学習)、医学知識、自然言語処理

なぜこの研究をしたのか

AIを用いた医療診断支援システムでは、知識獲得に限界があり、医学知識データベースの更新にも大きなコストがかかることが課題であった。また、各システムで使われた知識データベースは自由に二次利用できる形で公開されておらず、診断支援システムが孤発的に開発されている実情があった。そこで、深層学習による自動分類器を用いて、医学知識データベース構築を支援することを目指した。

どう調べたか

日本語BERTモデルを初期値として用い、疾患に関する文書から「疾患名」と「その疾患に起因する症状・所見または合併症を含む一文」を判定する文書分類モデルを構築した。

データには、Wiki-40Bの日本語データセットから疾患記事を抽出したWiki-diseaseを用い、400文書を学習・検証用、100文書を評価用とした。事前学習では、医学文書によるドメイン適応、文書構造を表すstructural markers、疾患名や対象文を示すentity markersの有無を組み合わせて比較した。評価指標にはF1-scoreを用いた。

何がわかったか

ベースラインモデルのF1値は90.4%であり、医学文書によるドメイン適応を追加してもF1値は90.4%で変化しなかった。一方、structural markersを含めたモデルではF1値が91.5%に上昇し、entity markersの事前学習も加えたモデルでは最も高い91.9%となった。

本研究により、日本語の疾患文書から、疾患名とそれに対応する症状・所見または合併症を含む一文を、ゼロ照応にも配慮して認識できる機械学習モデルを構築可能であることが示された。

なぜ大事なのか

診断支援システムの判断根拠として使える医学知識を、自動的に蓄積する仕組みにつながる可能性がある。医学知識データベース構築の負担を減らし、将来的には誰でも利用可能な形で公開される知識データベースとして、診断支援への応用が期待される。

次に目指すこと

疾患名の特定には標準病名マスターとのテキストマッチングを用いたため、表記ゆれに十分対応できていない点が限界として挙げられている。今後は、深層学習モデルによる固有表現認識を実装する予定である。

また、本研究の検証はWikipedia文書を対象としており、疾患総説や教科書など他の文書種に対応できるかは未検証である。今後は、多様な文書種に対して同様のモデルが適用可能かを検討する。さらに、症状だけでなく検査に関する記述も取得対象へ拡張する予定である。