阪大腎友会 会員だより第34号 第15回総会と勉強会・食事会
2014年2月公開
阪大腎友会は平成25年11月30日に第15期総会を開催しました。
当会も平成11年10月の発足以来15年目に入りました。今回の勉強会では、「さまざまな腎臓病」「食事療法の基本」について、腎臓内科科長の猪阪善隆先生と栄養管理室の山本美紀子先生からご講演いただきました。キッセイ薬品工業(株)、(株)ファンデリー、日清オイリオグループ(株)さんからたんぱく調整食品を提供いただきました。
第15期総会
第14期活動報告・会計報告が承認されました。
役員選出は、会長:長瀬久典、会計:道券志津子、役員:守田克、事務局:竹谷友孝が再任されました。
日本食品成分普及協会(理事長:川瀬良一(写真))への協力について決定しました。
阪大腎友会の活動について、会員の皆さんに「入会のすすめ」を新しい患者さんに配布頂き、活動を広めて行くことを決めました。
勉強会1 「さまざまな腎臓病及び運動療法について」
大阪大学医学部附属病院腎臓内科 猪阪善隆科長
1 おさらい
慢性腎臓病(CDK)の定義
慢性腎臓病(CDK)の病期分類
心血管病リスクとしての慢性腎臓病:心血管症(CDK)は腎炎患者の発症リスクを1とすると、高血圧だと約3・糖尿病だと約6とリスクは増加する。
透析導入患者数の推移:慢性糸球体腎炎からは20.4%だが糖尿病からは44.2%と腎炎からの透析導入数は少なくなっている。
2 さまざまな腎臓病
糖尿病 糖尿病患者が増加し、糖尿病性腎症患者が増加している。
多発性嚢胞腎 進行を抑制する薬剤(トルバプタン)が2014年には臨床で使用できる見込みである。
糸球体腎炎 IgA腎症の進展:IgAの糸球体沈着→腎臓の炎症→糸球体傷害・糸球体高血圧→慢性腎不全
3 運動療法について
高齢者における要介護の原因では、骨折転倒が増加している
要因は加齢性筋肉減弱症:筋力低下(サルコペニア)
サルコペニアの診断/運動機能測定 3m Timed up & goテストを試してください。(詳細は別添資料参照)
勉強会2 「慢性腎臓病の食事療法」
大阪大学医学部附属病院栄養管理室 山本美紀子
1 たんぱく質は控えめに
たんぱく質は体内で利用されたあと、最終的に尿素窒素になります。
尿素窒素は腎臓でろ過されて尿の中に排泄されるため、たんぱく質を摂り過ぎると、腎臓への負担が大きくなり、病気の進行を早めてしまいます。
食事からのたんぱく質を摂り過ぎないことが大切です。
2 エネルギーは十分に
エネルギーが不足すると身体の中のたんぱく質が分解され、エネルギー源になり、体内の尿素窒素が増えてしまいます。これでは、たんぱく質を多く食べたことと同じ状態になってしまいます。
たんぱく質が体内で有効利用されるようエネルギーは十分に摂りましょう。
3 塩分は控えめに
塩分を摂り過ぎると、体内水分が溜まり、血液量が増え、血圧が高くなって腎臓に負担をかけます。
高血圧は、病気の進行を速める危険な因子です。
4 カリウム制限がある場合
腎臓の機能が低下してくると、血液中のカリウムが排泄されずその濃度が高くなります。カリウムが高くなると心不全を起こしてしまう可能性も出てきます。
その際は、主治医の先生からカリウム制限の指示が出る場合があります。
多くの場合は、低たんぱく質食を実施すると、カリウム摂取量も同時に制限されます。
次回の阪大腎友会
次回、「発足15周年:春のつどい・食事会」は、2014年3月15日(土)に開催します。