教授ご挨拶

教授 猪阪善隆

この度、平成27年10月1日付けをもちまして、医学系研究科腎臓内科学講座の教授に就任致しました。昭和30年に阿部裕先生が腎臓研究室を創設されて以来、平成27年は60年の節目の年となります。このような記念すべき年に、腎臓内科学講座開講という宿願を達成できたことを大変光栄に思うとともに、この伝統と歴史のある研究室を一層飛躍させたいと考えています。

診療については、腎炎およびネフローゼ症候群、急速進行性糸球体腎炎、慢性腎臓病から透析療法、電解質異常など、すべての領域をカバーしていますが、エビデンスに基づいた診療を心掛けています。大阪府下および阪神間の関連施設とも密接に連携しながら、これらの分野の診療を推し進めています。透析医療に関しましても、平成22年より内科西に腹膜透析外来を開設するとともに、腎代替療法選択外来を設けており、患者様が十分な説明を受けたうえで治療を選択できるように心がけています。平成27年末には血液浄化部が増床されることとなっています。臨床研究においても、IgA腎症やネフローゼ症候群、慢性腎臓病など臨床重要課題に対するエビデンスを創出し、世界に向けて発信しています。

研究面でも、臨床から得られた疑問を基礎研究で解明するとともに、基礎研究から得られた知見を臨床に応用し、創薬に結び付けるような研究を行っています。

腎臓内科はとかく難しいと思われがちですが、わかりやすい腎臓内科教育を心がけており、学部学生教育・卒後教育の充実に加え、 高度な診療・臨床研究を推進することにより、優秀な腎臓内科医・Clinical Scientistの育成を目指しています。関連病院の先生方と連携しながら、研究会などを通して教育を行っています。

平成27年10月、還暦を迎えた腎臓研究室は、腎臓内科学講座として新たに生まれ変わりました。大阪大学を中心とする医療圏においても、腎臓内科医が不在の病院はまだまだ多いのが現状です。地域の高度な診療を担うとともに、次世代を担う優秀な腎臓内科医を育成したいと考えております。また、臨床研究から得られたエビデンスや基礎研究から得られた新たな治療法を世界に向けて発信することを目標としております。今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。