非肥満男性では、飲酒頻度が高血圧の発症に及ぼす影響が増強される

Hypertens Res, in press

Body mass index modifies the association between frequency of alcohol consumption and incidence of hypertension in men but not in women: a retrospective cohort study.

Nishigaki D, Yamamoto R, Shinzawa M, Kimura Y, Fujii Y, Aoki K, Tomi R, Ozaki S, Yoshimura R, Taneike M, Nakanishi K, Nishida M, Yamauchi-Takihara K, Isaka Y, Moriyama T.

 

飲酒は高血圧の主要リスクの一つです。日本人男性において、高血圧の35%は飲酒が原因です。飲酒が血圧に及ぼす影響は、性別やアルコール代謝酵素の遺伝子多型などの影響をうけます。一方、肥満が飲酒と血圧の関連に及ぼす影響については一定の見解が得られていません。肥満が飲酒と血圧の関連を増強するという報告もあれば、減弱するという報告もあります。

本研究は、大阪大学職員健診受診者11,193人(女性6,077人、男性5,116人)において、肥満が飲酒頻度と高血圧の関連に及ぼす影響を検討した後ろ向きコホート研究です。多変量補正Poisson回帰モデルにおいて、女性では飲酒頻度は高血圧発症の予測因子でありませんでした。一方、男性では飲酒頻度が高血圧発症の予測因子として同定されました。そこで、男性をBMI<22.0、22.0−24.9、≧25.0 kg/m2の3群に分けて、飲酒頻度と高血圧発症の関連を評価したところ、BMI≧25.0 kg/m2群において関連が減弱していました(図)。

本研究結果は、非肥満男性では飲酒が血圧に及ぼす影響が強く、飲酒頻度を減らすことが高血圧の予防につながる可能性を示唆しています。