研修医レクチャー 腎生検の見方 | 大阪大学腎臓内科

研修医レクチャー 腎生検の見方

腎生検は、糸球体腎炎を診断するためには必須の検査です。腎病理組織病変は、診断のみならず、治療方針を決定する上で大変貴重な情報が得られます。腎組織は、糸球体、尿細管・間質、血管の三要素から構成されますが、本レクチャーでは最も病変が多様な糸球体病変に注目します。

糸球体を構成する四要素

糸球体は、内皮細胞、メサンギウム細胞と基質、基底膜、上皮細胞(たこ足細胞)の四要素分から構成されます。重要なポイントは、内皮細胞とメサンギウム細胞・基質は、基底膜の内側に存在する管内要素であり、基底膜の外側に存在する上皮細胞が管外要素だという事です。

糸球体構成要素と糸球体腎炎の関係

これら四要素のどこに異常があるかを観察することで、様々な糸球体腎炎を診断する事ができます。どこに病変があるかを見極めるために、HE染色、PAS染色、PAM染色、Elastica-Masson染色等の様々な染色法を使い分けるのが、腎病理組織診断の特徴です。

糸球体の構成要素と糸球体腎炎の関係

本レクチャーでは、分かりやすいイラストと実際の病理組織写真を多数供覧しながら、代表的な糸球体病変の病理組織学的な特徴を解説します。

膜性増殖性糸球体腎炎

例えば、膜性増殖性糸球体腎炎は、内皮下に免疫複合体が沈着する糸球体腎炎です。内皮下免疫複合体がするために、増殖したメサンギウム細胞が内皮細胞下に潜り込み(メサンギウム間入)、その結果基底膜から引き剥がされた内皮細胞が、基底膜を新たに作り出し、二層化基底膜(double contour)です。

膜性増殖性糸球体腎炎(1型)

膜性増殖性糸球体腎炎(1型)