第29回「県民健康調査」検討委員会発言要旨

(甲状腺検査の予定について)

質問(高野):予定では30-40歳代まで見守りを続けることになっているが、韓国ではこの年代に超音波スクリーニングが行われ、多数の過剰診断が発生して社会問題となった。韓国では受診率が10−20%であったが福島県は100%なのでさらに大量の過剰診断の発生が予想される。本当に続けるのか?

回答:今後考えていく。(だったと思います)

(インフォームドコンセントについて)

質問(高野):甲状腺超音波検査によるスクリーニングについては、それを受けたらかといって、その後の死亡率が改善したり、経過が良くなったりすることはないことが文献上は明らかである。したがって、現在行われている超音波検査は被験者に直接のメリットはない。福島県の親御さんはこのことを認識して受診させているのか?検査を受けたら子どもに良いことがあると誤解して受診しているのではないか?

回答:現状では過剰診断についての説明を含め、インフォ―ムドコンセントは不十分だと認識している。

質問(高野):学校では授業の合間に検査が行われている。その場合、子どもたちが検査を受けない意思を表明するのは難しくなる。強制性を伴っているのではないか。

回答:そういう面はあると思う。

 

記者会見発言要旨

*質問がわかりにくかったためあまり正確でない可能性があります。詳細は動画等でご確認ください。

質問:HPの内容について 剖検で15歳以上しか甲状腺がんは発見されないとしているが、これより若ければ過剰診断でないといえるか?

 回答(高野):言える。 (これは厳密には正しい回答ではありませんでしたので、誤解のないよう下記を付け加えます。剖検で15歳未満での甲状腺の潜在癌の報告はありませんが症例数が少ないです。したがって、15歳以上は過剰診断のリスクがある、ということは言えますが、逆に15歳未満についてはリスクは格段に低くなる、とは言えますが何歳までが安全かを推定することは困難です。ただし、甲状腺癌の最初の発生は5歳くらいまでと考えられるので、発見が若年であればあるほど増殖ペースが速いことになり将来的に臨床的な癌になる恐れは高いと考えられます。すなわち、狭義のスクリーニング効果で発見されている可能性があります。このことを含めて年齢が若いほど過剰診断である可能性は低いと考えられます。ただし、15歳未満における超音波検査の功罪については小児の甲状腺癌は極端に経過が良好なので早期発見のメリットは想定しにくく、推奨できる根拠はありません。)

*この件についてわかりにくいとのご意見をいただきましたので別途解説します。

質問:20歳で500人に1人が過剰診断を被るとした根拠は

回答(高野):超音波検査で発見される頻度と剖検例での潜在癌の頻度から計算(この件に関しては短い時間でお答えするのは無理であり言葉足らずでしたので、下記を付け加えます。10代、20代の剖検例が少ないので、データにかなりばらつきがあり、20歳時の潜在癌の頻度の直接の推計は無理です。剖検例での潜在癌は15歳未満ではゼロでそこら急激に増加して35歳でピークを付けるのですが、30歳を超えるとかなり数が増えてデータが安定してきますので、そこまで連続的に変化していると仮定して計算したものを20歳時の予想値としています。ですから、HPに記載しているとおり、あくまで大雑把な計算で上下のブレはあり得ます。また、超音波と剖検例の頻度だけで過剰診断の率を出すのは通常の癌では無理ですが、この場合は我々の提唱している若年型甲状腺癌であるとの仮定からこの結論を出しています。これを理解していただくには芽細胞発癌の理論を理解する必要があり、ちょっとここでは書ききれません。多段階発癌として考えている研究者にとっては狭義のスクリーニング効果を含んでいるとして見えていると思います。どちらにしても少なくともすぐに手術をする必要のない癌です。)

質問:福島県外で多数の甲状腺癌がでているがどう考えるか?(という趣旨だったと思いますが、違っているかもしれません)

回答(高野):超音波で見つかった癌とそうでない癌とを同じように扱うことはできない。

質問:過剰診断の頻度を出した根拠は?

回答(高野):Harachらの論文と日本病理学会のデータベース(というはずだったのですが回答が途中で遮られたので全部は言えてないと思います。)

質問:出てきた癌を過剰診断と言うのは福島県民の感情を逆なでする(という趣旨だったと思いますが、違っているかもしれません)

回答(高野):放射線被曝のありなしにかかわらず、超音波検査をする限り過剰診断は発生する。(というはずだったのですが回答が途中で遮られたので全部は言えてないと思います。)

 
大阪大学医学系研究科甲状腺腫瘍研究チーム:ホームへ戻る