平成22年度研究助成課題(2010.1)

 

平成22年度研究助成課題として応募された中から3件が採択されました。

各課題には研究助成金として3月末までに10万円を贈ります。研究期間終了後(平成23年4月)に講演会で成果報告をしていただく予定です。

1.ウレアプラズマ胎内感染とその後の新生児合併症の研究
 柳原 格 (母子保健総合医療センター研究所免疫部門部長) 推薦者 河 敬世
 先進諸国を中心とした早産比率の上昇に警鐘が鳴らされている。日本人の妊娠初期の自然流産のほとんどは染色体異常によるが、妊娠中期には細菌感染などの感染・炎症が早産の約半数を占める。母子センターでの流早産151胎盤の42%からウレアプラズマの生菌が分離されたことから、これが流早産関連細菌感染症として重要であると考えられた。さらに臍帯の血管の炎症性細胞は胎児由来なので、ウレアプラズマが母体及び胎児の炎症反応を部位特異的に惹起していることが示唆された。ウレアプラズマ由来のリポ蛋白(MBA)によりTLRを介して炎症反応が惹起されるので、これを精製し妊娠マウスに投与し、胎児への影響の有無や、免疫反応などを調べる。
2.新型インフルエンザにおける鼻腔中のウイルス量と臨床所見との関連性に関する研究

 伊藤正寛 (京都市東山保健所・所長)ほか 推薦者 宮川広実

 小児におけるSwine Origin H1N1 Influenza A Virus (swH1N1)の感染による新型インフルエンザの症状は季節性インフルエンザと比べてやや潜伏期が長い、迅速診断キットの陽性率が低い、ウイルス性肺炎の合併率が高いなどの特徴がある。動物実験では上気道より肺での増殖が多いことが示されているが、症例におけるウイルス量を解析した報告は少ない。本研究は新型インフルエンザ例における鼻腔中のウイルス量をreal-time RT-PCR法により測定し、ウイルス量と発熱からの時間、迅速診断キットの結果、臨床症状との関連性について解析する。
3.LAMP法によるA型および新型(H1pdm2009)インフルエンザウイルス検出の臨床的検討
 中井英剛 (藤田保健衛生大学医学部小児科) ほか 推薦者 加藤伴親
 我々はこれまでLAMP法によるヘルペスウイルス診断を開発してきたが、この方法でウイルスゲノム検出により、新型インフルエンザと季節性インフルエンザの鑑別を行い、新型インフルエンザと季節性インフルエンザの臨床像を比較する。

(各研究課題の研究目的は提出された書類の文章を事務局でまとめ直したものですので、ご了解願います)

<2010-1 大阪小児感染症研究会事務局>


   
   
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