2026年春の講演会のお知らせ <2026.3更新>
第39回講演会を、下記の要領にて開催いたします。
特別講演といたしまして「よみがえったマイコプラズマ感染症 −マイコ研究者もゾンビのごとくよみがえる−」という演題にて、成田 光生 先生(札幌徳洲会病院 小児科 感染管理部長)にご講演いただきます。また一般演題の発表も2題予定しております。
なお今回の講演会も、参加事前申込制のオンライン開催を予定しております。
会員の方々には、講演会のご案内を郵送します。会員以外の方々も、どうか多数ご出席くださいますようお願いいたします。(本講演会は医療関係者を対象としております。)
本講演会の担当世話人は、宮ア 紘平 先生(近畿大学医学部 小児科学教室)、匹田 典克 先生(大阪公立大学大学院医学研究科 発達小児医学)です。
共催:大阪小児感染症研究会・一般財団法人 阪大微生物病研究会
参加申込方法
参加をご希望の方は、下記URLから必要事項をご入力のうえ、お申し込みください。
https://us06web.zoom.us/webinar/register/WN_bcNBJqhRRzi2yPHEmGJInQ
・申込締切【2026年4月3日(金)】の期限厳守にご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
大阪小児感染症研究会(代表世話人:北畠 康司)は、ウェビナー登録時にご提供いただいた氏名・所属等の個人情報を、本研究会の視聴登録確認、URL発行および運営に必要な連絡、ならびに今後開催する大阪小児感染症研究会のご案内のためにのみ利用し、その他の目的には使用いたしません。
<<講演会>>
日時:令和8(2026)年4月9日(木)19:00〜21:00 |
方法:ライブウェブ配信(zoomウェビナー) |
<<講演要旨>>
| ■19:15-19:55 一般演題 |
| ①呼吸症状の急激な増悪を認めたマイコプラズマ肺炎の一例 |
| 演者 長岡 歩(大阪公立大学医学部附属病院 小児科) |
【背景】
マイコプラズマによる呼吸器感染症は市中肺炎の3-4割を占め、多くは比較的軽症である一方、数%の症例で重症肺炎を発症すると報告されている。Covid-19 pandemic後、日本でも2024年7月ごろから患者数が急増しており、マクロライド系抗菌薬耐性菌や高サイトカイン血症の合併には注意が必要である。
【症例】
生来健康な7歳女児。同胞2人に約1週間前に感冒症状あり。第1病日夜より発熱、乾性咳嗽あり、第2病日発熱遷延し急病診療所を受診。39度台の発熱、SpO2が92-94%と低下、肺門部中心の気管支陰影の増強を認め、当院へ入院となった。受診時、呼吸数36回/分と多呼吸、左下肺野のAir入り不良あり。胸部レントゲン検査では左肺門から下肺野に浸潤影を認めた。AST54U/L、ALT151U/L、LDH476U/L、CRP1.36mg/dLと上昇を認め、FilmArray呼吸器パネル2.1でマイコプラズマ、ライノ/エンテロウイルス陽性、マクロライド耐性遺伝子は陰性であった。酸素投与でSpO2は上昇しAzithromycin、ABPC、prednisolone(PSL) 3mg/kg/day、RTXによる排痰補助を開始。第3病日解熱せず、酸素需要は悪化し、HFNCを検討するも本人が拒否し不可であった。第4病日PSLを4mg/kg/dayに増量。解熱傾向となるも10L/分以上の酸素投与を要する状態となり、胸部CT検査で左肺全体の肺炎、無気肺像、右上葉にも肺炎像を認めた。Tosufloxacin開始も症状遷延し、第5病日3次医療施設へ転院。HFNC、肺理学療法を実施。症状改善し第8病日に退院した。
【考察】
高サイトカイン血症を合併し、急激な症状、画像所見の増悪を認めたが、人工呼吸管理は要さずに症状は改善した。マイコプラズマ肺炎では重症化に注意が必要で、集学的な検討が必要と考えられる。
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| ②マイコプラズマ感染後に脳炎をきたした2症例についての検討 |
| 演者 小倉 薫平(大阪市立総合医療センター 小児医療センター 小児救急・感染症内科) |
緒言:マイコプラズマ感染後脳炎(Mycoplasma pneumoniae encephalitis : MPE)は臨床症状が多彩であり時に診断に難渋する。症例1:生来健康な13歳男児。X-6日に前医でマイコプラズマ感染症と診断され抗菌薬加療を開始したが、徐々に脱力と呂律困難が出現し、X日に当院転院となった。来院時、呼びかけへの返答の遅延、両側上下肢の脱力を認めた。頭部MRI検査では有意な所見はなかったが、髄液検査で細胞数の増加(36/μL)、ネオプテリンの増加(303.7nmol/L)があり、脳血流シンチでは左右差を認め、MPEとしてステロイドパルス療法を行った。症例2:生来健康な10歳男児。X-12日に発熱、咳嗽のため近医を受診しマイコプラズマ感染症と診断された。抗菌薬加療で症状は改善したが、X-1日に再度発熱、嘔吐があり前医に入院。翌日に後部硬直、意識障害が出現し、髄液検査で細胞数増加がありウイルス性髄膜炎として当院転院となった。頭部MRI検査では有意な所見はなく、髄液検査で単核球優位の髄液細胞数の増加(357/μL)、蛋白の増加(82mg/dL)があり、髄膜炎として治療を開始した。意識障害の改善がみられず、入院3日目に脳血流シンチグラフィを行ったところ左右差を認め、来院時の髄液中ネオプテリンの増加(441.1nmol/L)もあり、MPEとしてステロイドパルスを行った。2症例ともステロイドパルス開始後症状が改善した。
考察:急性脳炎の診断において、 頭部MRI検査で異常を認めなくても、脳血流シンチグラフィ、髄液中ネオプテリン上昇が有用である。
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| ■19:55-20:55 特別講演 |
よみがえったマイコプラズマ感染症 −マイコ研究者もゾンビのごとくよみがえる− |
| 演者 成田 光生(札幌徳洲会病院 小児科 感染管理部長) |
マイコプラズマ肺炎は1988年まではオリンピック年に一致して流行が見られ、オリンピック肺炎とも呼ばれていた。1991年にクラリスロマイシンが導入され、周期的流行が消失し耐性菌も無い安定期になっていた。その後2000年札幌で最初の1株が見つかって以後マクロライド耐性菌が急増した。この事実は耐性化要因の発生が2000年であることを明確に示している。耐性菌が増加途中にあった2008年には私も本会にて講演をさせて戴いている。2011年頃には耐性率はピークに達し80%を超えていた。また2012年・2016年に流行があり周期性が再現されたようにも見えたが、むしろこの間耐性率は順調に低下し、コロナ前には15%程度まで減少していた。その要因として菌の交代現象が考えられている。マイコプラズマには接着器官と呼ばれる器官があり、それを構成するP1遺伝子の違いでT型菌とU型菌に分類される。日本ではそのどちらか一方のみが分離され、それがほぼ10年間隔で交代していた。高耐性率の2000年代はT型菌のみが分離されていたが、2010年代に入り耐性を持たないU型菌が出現し、それが優位になっていくとともに耐性率が減少した。2019年の新型コロナウイルス感染症の出現に伴う飛沫感染対策の徹底によりマイコプラズマ肺炎は激減していたが、2024年夏に再興するや史上最大の流行となったことは記憶に新しい。コロナの間に再び耐性を多く持つT型菌に入れ替わり、現在の耐性率は30%前後である。ただし濃厚接触のみにより伝播するマイコプラズマはかなり狭い地域においても耐性の分布は大きく異なっており、当科周辺では極端に言えば「通り1本挟んだら様相が違う」という流行状況が観察された。今回はマイコプラズマのそもそも論から耐性率変動要因、直近の流行状況などにつき、‘絶滅危惧種たる細菌学者からの提言’という趣で自身の研究成果を交えお話したい。
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ご不明の点があれば当研究会事務局「kansen*ped.med.osaka-u.ac.jp」あてに電子メールでお問い合わせください。
(お願い:メールで連絡を送る際には、上記*を、@に変えてお送りください。) |
大阪小児感染症研究会代表世話人 北畠康司
事務局担当世話人 外川正生、山本威久