2026年秋の講演会のお知らせ <2026.9更新>
第40回講演会を、下記の要領にて開催いたします。
特別講演といたしまして「医療機関における麻しんへの備えと対応」という演題にて、福住 宗久 先生(大阪健康安全基盤研究所 公衆衛生部健康危機管理課 総括研究員、O-FEIT〔Osaka-Field Epidemiologic Investigation Team:大安研疫学調査チーム〕)にご講演いただきます。また一般演題の発表も2題予定しております。
なお今回の講演会も、参加事前申込制のオンライン開催を予定しております。
会員の方々には、講演会のご案内を郵送します。会員以外の方々も、どうか多数ご出席くださいますようお願いいたします。(本講演会は医療関係者を対象としております。)
本講演会の担当世話人は、井村 元気 先生(大阪市保健所 感染症対策課)、奥野 英雄 先生(大阪市立総合医療センター 小児救急・感染症内科)です。
共催:大阪小児感染症研究会・一般財団法人 阪大微生物病研究会
参加申込方法
参加をご希望の方は、下記URLから必要事項をご入力のうえ、お申し込みください。
https://us06web.zoom.us/webinar/register/WN_Ew7R66f7RpejUa_Vfays3g
・申込メール締切【2026年10月9日(金)】の期限厳守にご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
大阪小児感染症研究会(代表世話人:北畠 康司)は、ウェビナー登録時にご提供いただいた氏名・所属等の個人情報を、本研究会の視聴登録確認、URL発行および運営に必要な連絡、ならびに今後開催する大阪小児感染症研究会のご案内のためにのみ利用し、その他の目的には使用いたしません。
<<講演会>>
日時:2026(令和8)年10月15日(木)19:00〜21:00 |
方法:ライブウェブ配信(zoomウェビナー) |
<<講演要旨>>
| ■19:15-19:55 一般演題 |
| ①麻疹患者診察時に罹患した、医療従事者の2症例とその院内対応 |
| 演者 小林 佑太朗(大阪市立総合医療センター 小児救急・感染症内科) |
【緒言】
麻疹は感染力が極めて強く、医療従事者が発症した場合の二次・三次感染予防は、院内感染対策上重要である。医療関係者のためのワクチンガイドラインでは1歳以上での麻疹含有ワクチン(MCV)接種歴を重視しており、勤務・実習前に2回の接種歴が確認できれば原則追加の対策は不要としている。
【症例】
2名の医療従事者(症例1、2)はサージカルマスク着用の上、発端者となる麻疹患者の診察をおこなった。発端者家族4人が発症し、発端者(20歳代女性)と子2人(2歳女児、生後1か月男児)が入院していた。症例1は20歳代女性医師、MCV2回の接種歴があるが、入職時の麻疹IgG(EIA法)6.6と基準未満で、MCVを計2回追加接種していた。診察後10日目に咽頭違和感を自覚し、続いて発熱、口腔内コプリック斑、体幹皮疹が出現し、全血・尿・咽頭ぬぐい液PCRで麻疹ウイルスが検出された。症例2は20歳代女性医師、MCV2回の接種歴があり、発症15か月前の麻疹IgG(EIA法)17.3で追加接種はおこなわなかった。診察後16日目に発熱・頭痛が出現し、全血PCRで麻疹ウイルスが検出されたが、皮疹やコプリック斑は認めなかった。
【対応】
院内外の行動調査により接触者254名をリストアップし、245名に麻疹抗体検査を実施した。抗体価が基準以下であったのは入院患者11名(うち免疫抑制薬使用2名)、救急外来委託職員2名であったが、三次感染は確認されなかった。
【考察】
麻疹はワクチン2回接種後でも発症し得るため、麻疹患者対応時のN95マスク着用の徹底が必要である。入職時にワクチン接種歴を確認し、2回以上のワクチン接種を必須にすることで院内全体の伝播リスクが抑制され、これが免疫抑制状態の患者が存在する環境下でも三次感染を認めなかった要因として重要と考えられた。
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②海外から帰国した乳児が麻しんを発症し、三次患者が認められた事例
―保健所から見た感染拡大防止のポイント― |
| 演者 小薮 利佐子(大阪市保健所 感染症対策課) |
【はじめに】国内の麻しん報告数は、2023年以降、年々増加し、大阪市においても2024年3例、2025年8例、2026年(7月時点)11例と同様の傾向である。今回、海外から帰国した乳児が麻しんを発症し、三次患者が認められた事例を通じ、保健所から見た感染拡大防止のポイントを共有したい。
【事例】11か月の男児。ベトナムに3週間滞在後、両親と帰国(Day0とする)。Day2に発熱、咳、鼻汁出現し、翌日Aクリニックでインフルエンザと診断。一旦解熱もDay7に再び発熱し、Day8に市内B病院を受診。Day9、震えやけいれん様症状が出現し、B病院へ救急搬送。SpO2低下、肺炎像を認め、入院となった。Day11に解熱し、頭頚部に発疹が出現。Day14軽快退院。Day16退院後フォローでB病院を受診時、再度SpO2低下、肺炎像の悪化を認め、C病院へ紹介入院。同日、B病院入院中に実施していた麻しんIgM抗体検査が陽性と判明し、麻しんの届出あり。Day17、C病院で麻しんウイルスPCR陽性が判明し、確定診断に至った。
B病院からの発生届を受け、保健所・各区保健福祉センターは疫学調査を行い、感染性期間の接触者や利用施設の特定、感受性者への対応の検討、接触者の健康観察等を実施した。B・C病院では、一部の接触者に対し、曝露後予防として緊急ワクチンや免疫グロブリン製剤が投与された。
その後、B病院外来での接触者が発病(二次感染)し、さらにその同居家族の発病(三次感染)を認めたが、いずれもワクチンは未接種であった。
【結語】麻しん患者の発生は、関係する自治体や医療機関に多大な負荷を与える。麻しんを疑う時点で、血清学的検査と併せ、全例、遺伝子検査による確定診断が求められる。接触者の早期把握、感受性者への曝露後予防、慎重な健康観察、有症状時受診等の対応においても、夜間・休日を問わない関係機関の迅速な連携が欠かせない。また平時からの備えとして、定期予防接種の普及啓発を強化し、接種率の維持・向上に努めることが肝要である。
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| ■19:55-20:55 特別講演 |
| 医療機関における麻しんへの備えと対応 |
演者 福住 宗久
(大阪健康安全基盤研究所 公衆衛生部健康危機管理課 総括研究員
O-FEIT〔Osaka-Field Epidemiologic Investigation Team:大安研疫学調査チーム〕)
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2023年以降、世界的に麻しん患者報告数が増加し、ワクチン接種率低下と国際往来の活発化により、国内への麻しんウイルス持ち込みリスクが高まっている。国内では2026年第28週までに547例が報告され、前年の同期間を大きく上回った。報告された547例のうち約半分を10〜20代が占め、約7割が2回接種未完了または接種歴不明で、また、約7割を国内感染例が占めた。麻しん排除後の臨床経験の減少や、修飾麻しん・発症初期の非典型例の診断困難が課題であると報告され、診断までに複数の医療機関を受診した例もみられている。
医療機関で麻しんウイルスの感染伝播が起こった場合、接触者調査、職員・患者の健康観察、職員の配置転換、緊急ワクチン接種、患者・家族への対応、メディアへの対応など、日常診療に加え麻しん対応に通常業務を超える多大な人的・時間的負担が生じる。また、状況によっては診療制限等による地域医療への影響、病院の経済的損失に加え、社会的信用にも大きな影響を及ぼす場合があるため、特に地域で麻しんが流行した際には、医療機関における麻しんへの備えが不可欠である。
地域の医療機関における麻しんへの対応準備は、新興・再興感染症への対応を含む地域の健康危機管理体制構築に資する重要な取り組みである。本講演では、最近の麻しん発生動向と実際の事例対応を振り返りながら医療機関における備えと対応のポイントについてお伝えし、自施設での麻しんへの対策の一助として頂きたい。
平素より感染症発生動向調査および対策にご協力頂いている大阪の自治体、医療機関の皆様、本講演にあたりご支援いただいた大阪健康安全基盤研究所の関係者に深謝申し上げます。
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ご不明の点があれば当研究会事務局「kansen*ped.med.osaka-u.ac.jp」あてに電子メールでお問い合わせください。
(お願い:メールで連絡を送る際には、上記*を、@に変えてお送りください。) |
大阪小児感染症研究会代表世話人 北畠康司
事務局担当世話人 外川正生