平成23年度研究助成課題(2011.1)

 

平成23年度研究助成課題には下記の3件が採択されました<2011.1.更新>

各課題には研究助成金として本年3月末までに10万円を贈ります。また、研究期間終了後(平成24年4月)に講演会で成果報告をしていただく予定です。

1. 小児における呼吸器感染症の病原微生物の網羅的検出
倉田貴子(大阪府立公衆衛生研究所・研究員)     推薦者 奥野良信
 小児の呼吸器感染症の原因ウイルスとして、近年、ヒトメタニューモウイルス、コロナウイルス、ボカウイルスなども呼吸器疾患の原因となる可能性が示唆されている。また、ボカウイルスについては、しばしば他のウイルスとの混合感染が報告されているが、ウイルスの混合感染と臨床症状の関連性は明らかになっていない。 そこで、小児の呼吸器疾患を引き起こす16種のRNAウイルスを対象としたMultiplex PCR法およびアデノウイルス・ボカウイルスを対象としたnested PCR法を用いて、小児における呼吸器感染症の病原検索を網羅的に行い、呼吸器症状を呈する小児の臨床検体を網羅的に検索すれば、病因となるウイルスをこれまでより簡便に検出できる他、ウイルスの混合感染の有無も確認でき、原因ウイルスとその混合感染の有無が臨床症状にどのような影響を与えるのかを明らかにできると考えられる。
2. 小児気道感染症におけるウイルス検出と臨床所見との関連について
圀府寺 美(中野こども病院・副院長)ほか       推薦者 宮川広実
 小児の急性ウイルス性気道感染症は日常診療上commonな疾患である。多くの気道ウイルスが知られているが、症状から原因ウイルスを鑑別することは困難な場合が多い。臨床的にウイルス性気道感染症と診断した症例の鼻腔または咽頭からウイルスを検索し、臨床症状、検査所見、季節性などとの関連性を解析することにより市中におけるウイルス性気道感染症の実態を疫学的に明らかにすることが本研究の目的である。
3. 保育園入園1年間での上咽頭培養で分離されるインフルエンザ菌および肺炎球菌の保菌状況の変化
武内 一(佛教大学社会福祉学部 教授)ほか     推薦者 上田重晴
 上咽頭のインフルエンザ菌および肺炎球菌の保菌状況を、保育所での集団生活開始前から1年間追跡し、保菌の拡大に関する新知見を得る。また、Hibワクチンおよび小児用7価肺炎球菌ワクチン(PCV-7)を任意接種できるようになったので、接種歴が菌の保有状況にどのような変化をもたらすかを検証することを目的とする。
本調査によって、集団生活開始前後の保菌状況を遺伝子解析を含めて検討し、特定の菌株の拡大あるいは変化を明確に把握したい。Hibおよび肺炎球菌に対するワクチンの普及によって、既接種児と未接種児による保菌状況の違いを検討すると、既接種児ではHibおよびワクチン血清型肺炎球菌の保菌が有意に低い可能性がある。また、同一市内の複数の保育所を対象にすると、保育所間での菌の拡大や移動の情報が得られる可能性がある。

 (各研究課題の研究目的は、提出された書類の文章を事務局でまとめ直したものですので、ご了解願います)

2011年1月
大阪小児感染症研究会事務局

 

   
   
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