第13回講演会のお知らせ

 

第13回講演会のお知らせ <2011.8.更新>

 第13回講演会を下記の要領で開催いたします。
 今回は、小児科医にとって臨床的に関心の高い2つのウイルス感染症として、HHV-6(ヒト・ヘルペスウイルス6)感染症とロタウイルス感染症の2つを取り上げます。それぞれの分野で最も活発に研究しておられる吉川教授と中込教授が講演して下さることになりました。どうかご期待ください。
 会員の方々には9月中旬に講演会のご案内と出欠はがきをお送りします。できるだけ多数ご出席くださるようお願いします。


日時: 平成23年1022() 14:00-17:00
場所: 大阪大学中之島センター 10F 佐治敬三メモリアルホール

    530-0005 大阪市北区中之島4-3-53(Tel:06-6444-2100; Fax:06-6444-2338)
    京阪電車 中之島線 中之島駅または渡辺橋駅下車徒歩5分
    大阪市バス 53系統 船津橋ゆき 中之島4丁目下車すぐ

<<特別講演>>
1. HHV-6の初感染と再活性化
吉川 哲史 先生 (藤田保健衛生大学・医学部小児科教授)

HHV-6は、当初リンパ球増殖性疾患患者の末梢血から分離された6番目のヒトヘルペスウイルスである。生後6ヶ月から2歳にかけて殆どの乳児がこのウイルスの初感染を受け、突発性発疹を引き起こす。一般に予後良好な疾患ではあるが、初感染時の合併症の中では熱性痙攣の頻度が比較的高く、稀に脳炎、脳症を起こす。初感染時の脳炎例は痙攣重積型脳症の経過を示す例が多く、全国調査の結果から本邦ではインフルエンザ脳症に次ぐ頻度となっている。一方、このウイルスは、他のヘルペスウイルス同様初感染後宿主体内に潜伏感染し、宿主が免疫不全状態に陥った際に再活性化する。移植患者においては、他のヘルペスウイルスと比較して早い時期(移植後24週間)に再活性化することが特徴的で、それに伴い中枢神経系合併症を起こすことが知られている。特に最近、画像診断上海馬に異常所見を認め、記憶障害を伴う症例(移植後急性辺縁系脳炎)の報告が相次いでおり注目されている。初感染時と再活性化時では脳炎の臨床像も異なるが、その病態についても異なっていることが判明してきた。初感染時の脳炎は、ウイルスの中枢神経系 への直接侵襲よりもサイトカイン等の宿主免疫反応を介して発症することがうかがわれ、一方移植患者のHHV-6脳炎は脳内で明らかなウイルス増殖が起きているようである。本講演では、HHV-6についてのバックグラウンドを述べた後、特にこのウイルスが持つ中枢神経病原性に焦点を当てながら初感染と再活性化時の臨床像について概説する。

2. ロタウイルス感染症のワクチンによる制御
中込 治 先生(長崎大学大学院・医歯薬学総合研究科・感染免疫学講座教授)
ロタウイルス感染症は非常にコモンな感染症である。成人の散発性急性胃腸炎の原因の1015%はロタウイルスに起因しているが、ロタウイルスの臨床的重要性は、乳幼児期の急性下痢症の原因であることにある。ロタウイルスには、すべての小児が感染するが、その大部分は、医療介入を必要としない軽症の下痢症に終わり、わが国では、脱水治療のために入院しているのは、5歳になるまでに1550人に1人である。このような重症下痢症による入院(疾病負担)を予防することがロタウイルスワクチンの目的である。この講演では、(1)ロタウイルスワクチンの目的(感染は防がず、入院患者を減少させること)、(2)発症を防御する免疫機構は何か、(3)わが国におけるロタウイルスの疾病負担の大きさ(年間26,00078,000人の5歳未満の小児がロタウイルス胃腸炎で入院していること)、(4)ロタウイルスワクチンの有効性と副反応(なぜ生ワクチンなのに複数回接種が必要なのか、なぜ初回接種を6週以降に始めて1215週に終えなければならないのか)、(5)日本での臨床試験の結果 はどうなのか、(6)ロタウイルスワクチンを既存の定期接種ワクチンとの関連において、いつ接種すればよいか(わが国の特殊な予防接種事情と標準的な接種スケジュールの必要性)、(7)ロタウイルス胃腸炎は治療法が確立しており,治癒させることができる病気であるので、ロタウイルスワクチンは医療経済的にみて費用対効果に優れるのかどうかということ(任意接種と集団接種でどのような違いが出てくるのか)などについて(演者が分かる範囲で)お話しさせていただく予定である。

 

大阪小児感染症研究会代表世話人 大薗恵一
                                    事務局担当世話人 岡田伸太郎、上田重晴

   
   
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