第14回講演会のお知らせ

 

第14回講演会のお知らせ <2012.2.更新>

 大阪小児感染症研究会の主催する第14回講演会を下記の要領で開催いたします。
 近年、多くの新しいワクチンが導入され、あるいは導入予定を控えており、臨床現場では接種スケジュールが大変複雑になってきています。そこで今回は国立感染症研究所・感染症情報センター多屋馨子室長にご講演をお願いし、最新のワクチンの動向をお話ししていただくことになりました。また、同時に平成23年度研究助成課題3題の成果も発表することになっています。できるだけ多数の会員のご出席をお願いします。

 会員の方々には間もなくご案内をお送りしますが、今回から出欠回答の方法を次のように変更します。ご案内状に同封しておりました「出欠ハガキ」によるご返事を止め、その代わりに次の2つのどれかでご返事をお願いいたします。

a. 郵送するご案内に同封の「FAX出欠回答用紙」に記入の上、事務局あてにFAXする。
b. 氏名と所属を明記し「kansen@ped.med.osaka-u.ac.jp」へ出欠をメールで知らせる。

なお、今回の講演会場は、「大阪市立総合医療センターさくらホール」に変わっています。詳しいアクセスのご案内は下記をご覧ください。

日時: 平成24年414() 14:00-17:00
場所: 大阪市立総合医療センターさくらホール

〒534-0021 大阪市都島区都島本通2丁目13番22号) 電話06-6929-1221(代)
●JR大阪環状線「桜ノ宮」駅下車・・・・・・・ 北へ約7分
●地下鉄谷町線「都島」駅下車2番出口・・ 西へ約3分
●市バス「総合医療センター前」下車
21号系統「総合医療センター〜諏訪神社前」
33号系統「総合医療センター〜新森7丁目」
45号系統「総合医療センター〜横堤バスターミナル」
83号系統「大阪駅前〜守口車庫前」
110A系統「守口車庫前〜総合医療センター」

<<特別講演>>15:20からの予定です
「臨床に役立つワクチン・アップデート
国立感染症研究所 感染症情報センター 室長  多屋馨子

 日本の予防接種制度は、予防接種法に基づく定期予防接種(以下、定期接種)、子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業(以下、促進事業)、これらのいずれにも含まれない任意の予防接種(以下、任意接種)の3つにわけられています。定期接種のワクチンに比べると任意接種のワクチンの接種率は低く、毎年大規模な流行を繰り返していますが、子ども達にとって大切なワクチンが沢山あります。
現在、定期接種化に向けて検討がなされているワクチンには、水痘ワクチン、おたふくかぜワクチン、B型肝炎ワクチン、Hib(インフルエンザ菌b型:ヒブ)ワクチン、肺炎球菌(7価結合型(小児用)、23価多糖体(主に高齢者))ワクチン、HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンがあります。
また、成人百日咳の増加に伴い、2期のDTトキソイドをDPTワクチンへ変更する検討や、生ポリオワクチンを不活化ポリオワクチンに変更する検討が進行中です。不活化ポリオワクチンについては、DPTワクチンと混合したDPT-sIPV4種混合ワクチンが国内で開発されており、DPTワクチンを既に接種した子ども達に対するポリオワクチンとして、海外で製造された単味の不活化ポリオワクチンの導入が検討されています。
ロタウイルスワクチンをはじめ、多くの新しいワクチンが国内に導入され、乳幼児の予防接種スケジュールが過密になっています。スケジュールの立て方の例を挙げながら、国内で長年接種されてきたMRワクチン、日本脳炎ワクチン、インフルエンザワクチンの情報も含め、個人を感染症から守ることは、ひいては社会を守り、次世代を守ることに繋がることを伝えるとともに、臨床の先生方の日々の診療に少しでもお役に立つ情報をお届けできればと考えています。


平成23年度研究助成課題成果報告(14:00〜15:10各報告20分間の予定です)
研究課題 1 小児における呼吸器感染症の病原微生物の網羅的検出
倉田貴子(大阪府立公衆衛生研究所・研究員)

 小児の急性呼吸器感染症の原因としてRSウイルスやインフルエンザウイルスなど様々なウイルスが知られているが、近年新たにヒトメタニューモウイルスやボカウイルスなどの関与も示唆されており、病因ウイルスの特定は困難になってきている。今回、小児の呼吸器感染症において病因の網羅的検索を行うために、16種類のウイルスを対象としたMultiplex PCR法を用いて臨床検体からのウイルスの検出を試みた。

臨床検体は、呼吸器症状を呈した小児の鼻腔吸引液57検体を用いた。それらのうち21検体(36.8%)からは1種類、29検体(50.8%)からは2種類以上のウイルス遺伝子が検出された。多くの検体から複数のウイルスが検出されたことから、小児の呼吸器感染症は、単一のウイルス感染のみでなく複数のウイルスの混合感染が原因となる可能性が考えられた。
研究課題 2 保育園入園1年間での上咽頭培養で分離されるインフルエンザ菌および肺炎球菌の保菌状況の変化
武内 一(佛教大学社会福祉学部 教授)ほか

 本研究は、保育所での集団生活開始前から1年間追跡することによって、上咽頭におけるインフルエンザ菌および肺炎球菌の保菌状況に関する知見を得ることと、Hibワクチンおよび小児用7価肺炎球菌ワクチン(PCV-7)の接種歴が、保有状況にどのような変化をもたらすかを検証することとを目的とした。
堺市内6保育所に2011年度から新規に入所した56名の0〜1歳児を対象とし、同年4月から2012年3月までの1年間に採取された上咽頭拭い液より分離培養されたインフルエンザ菌および肺炎球菌の莢膜型、薬剤感受性、MLST型、耐性関連遺伝子を解析した。あわせて、調査終了までに実施されたヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンの接種歴の聴取を行った。
現在調査の途上であるが、報告時には概ね結果をまとめ、評価に耐えうる形で報告する予定である。

研究課題 3 小児気道感染症におけるウイルス検出と臨床所見との関連について
圀府寺 美(中野こども病院・副院長)ほか

 臨床的にウイルス性気道感染症と診断した症例の鼻腔吸引液または咽頭ぬぐい液を採取し、real time PCR法でウイルスの検出を行った。2011年1月から12月の1年間に281検体からウイルスが検出された。その内訳はヒトメタニューモウイルス(hMPV)44例、ヒトボカウイルス(HBoV)  50例、パラインフルエンザウイルス(PIV)1〜4 52例、RSウイルス(RSV)59例、ライノウイルス(HRV) 136例、ヒトコロナウイルス(HCoV)10例であった。単独感染は174例、重複感染は107例にみられ、HRVとHBoVに重複感染が多くみられた。それぞれのウイルスの検出時期や臨床所見との関連性、重複感染による臨床的特徴の有無について検討を行った。

大阪小児感染症研究会代表世話人 大薗恵一
                                    事務局担当世話人 岡田伸太郎、上田重晴

   
   
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