小児科専門医制度研修集会の3単位取得と第15回講演会開催のお知らせ

 

小児科専門医制度研修集会の3単位取得と第15回講演会開催のお知らせ
 
<2012.8.更新>

 当研究会は「日本小児科学会専門医制度・研修集会単位」認定を申請中でしたが、このほど3単位」の取得が認可されたとの通知がありました。次回からは入場の際、ご希望の方に「参加証(3単位)」を差し上げます。


大阪小児感染症研究会主催の第15回講演会を下記の要領で開催いたします
 この秋から定期ポリオワクチン接種が従来の生ワクチン(OPV)から不活化ワクチン(IPV)に変更されます。ちょうど時機も良いので、中野貴司先生からOPVとIPVの比較や、今回の変更理由などを詳しく解説していただき、岡部信彦先生にはこれまでの世界と日本のポリオ(急性灰白髄炎)の発生状況と今後の課題についてお話をしていただくことになりました。どうかご期待ください。
 会員の方々には間もなく講演会のご案内を郵送します。参加費は無料です。多数のご出席をお願いします。

会員の方々は次のことにご注意くださいますようお願いします。
1) 今回の講演会場はいつもの「大阪大学中之島センター 10F 佐治敬三メモリアルホール」に戻って開催します。アクセスのご案内は下記をご覧ください。
2) 前回まで、講演会のご案内に「出欠ハガキ」を同封しておりましたが、「ハガキ」の代わりにご返事の方法を変更しておりますので、次の2つのどれかでご返事ください。

a. 郵送するご案内に同封の「FAX出欠回答用紙」に記入の上、事務局あてFAXする。
b. 氏名と所属を明らかにして「kansen@ped.med.osaka-u.ac.jp」へ出欠を電子メールで知らせる。


<講演会>
日時: 平成24年10月27日() 14:00-17:00
場所: 大阪大学中之島センター10F 佐治敬三メモリアルホール

〒530-0005 大阪市北区中之島4-3-53(Tel:06-6444-2100; Fax:06-6444-2338)
    京阪電車 中之島線 中之島駅または渡辺橋駅下車徒歩5分
    大阪市バス 53系統 船津橋ゆき 中之島4丁目下車すぐ

講演要旨:(それぞれの講演後には15-20分間の討論を予定しています。)

14:00-15:00 中野 貴司 先生 (川崎医大 小児科学 教授)
    
「ポリオワクチン - 生から不活化へ」

 経口生ポリオワクチン(oral polio vaccine, OPV)は、ポリオ予防のための優れた手段である。わが国では、1961年ポリオ大流行の最中に緊急輸入され、瞬く間にポリオを制圧した。1988年から始まった世界ポリオ根絶計画においても、OPVが果たしてきた役割はきわめて大きい。しかし、頻度は低いながらも、副反応であるワクチン関連麻痺(vaccine-associated paralytic poliomyelitis, VAPP)という問題点がある。麻痺は不可逆性で後遺症を残し、看過できない副反応である。また、OPV投与者が発症する以外に、糞便中に排泄されたウイルスが周囲の者に感染し麻痺を起こす場合もある。
 海外の先進諸国では、定期接種で用いていたOPVを不活化ポリオワクチン(inactivated polio vaccine, IPV)に変更する国が10年ほど前から増えた。その理由は、野生株ウイルスによるポリオ患者の減少に伴い、OPVの副反応である神経病原性復帰がもたらす麻痺が問題視されるようになったからである。IPVは欧米を中心に広く普及し、良好な免疫原性が確認され、安全性の点でも評価が高い。わが国でも2012年9月から単独IPVが導入された。
 さらに、DPT(ジフテリア・百日咳・破傷風)ワクチンにIPVを混合した四種混合ワクチン(DPT-IPV)も、2012年11月に定期接種に導入される。IPVの接種年齢・回数・間隔は、従来のDPTワクチンのそれと同様となっている。過去のワクチン接種歴によって、使用する製剤の種類や接種回数が異なることに注意を要する。また、OPVよりも接種の回数が増えるので、近年過密になりつつある乳児期の予防接種スケジュールへの配慮も求められる。DPT-IPVは、接種スケジュールへの負担を軽減しながら効率的な免疫獲得が可能となり、その有効な活用が期待されるワクチンである。本講演では、IPV とDPT-IPVの円滑な導入に向けての対処策を紹介したい。

15:30-16:30: 岡部 信彦 先生 (川崎市衛生研究所 所長)
   「ポリオ - 世界の状況、わが国の状況」

 ポリオ(急性灰白髄炎)は1950年代までは世界各地で流行した。しかしポリオワクチンを導入した国ではその発生数は激減し、1988年WHOは地球規模でのポリオ根絶を宣言し活発な活動を各地で展開した。1991年アメリカ大陸全体が新たなポリオ例が存在しない地域(polio free zone) となり、我が国が属するWHO西太平洋地域は2000年、ヨーロッパ地域は2002年にポリオ根絶宣言をした。ワクチンの普及により、世界では毎年40万人もの子どもたちがポリオ罹患から救われているといわれている。
 我が国のポリオ患者数は、1961(昭和36)年までは毎年1000人以上、死亡者も100人以上であり、特に1960(昭和35)年には全国で5600名を超える大流行があった。しかし1961(昭和36)年に経口ポリオ生ワクチンが導入され患者数は激減、3年後には100人を下回り、1971(昭和46)年、1980(昭和55)年の各1例を最後に、国内でポリオ患者は発生していない。
 2011年の世界のポリオ患者数は,常在国3カ国で340名(パキスタン198名,ナイジェリア62名,アフガニスタン80名),非常在国12カ国では310名の計650名が報告されている。インドは2011年の患者数1名で、現在ポリオ常在国とはみなされなくなった。しかし、2010年はタジキスタンでは458名(うち死亡39)、2011年は中国で21名(うち死亡2)の海外から持ち込まれた野生ポリオウイルスによる流行的患者発生があり、ポリオの監視と対策は引き続き国際的に厳重に行っていく必要がある。

大阪小児感染症研究会代表世話人 大薗恵一
                                    事務局担当世話人 岡田伸太郎、上田重晴

   
   
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