大阪小児感染症研究会主催・2013年春の講演会のお知らせ(2013.2)

 

大阪小児感染症研究会主催・2013年春の講演会のお知らせ
 
<2013.2.更新>

 当会主催の第16回講演会を下記の要領で開催いたします。
 昨今、多くのワクチンが使われるようになりましたが、呼吸器、消化管の病原微生物感染に対する「粘膜免疫ワクチン」の開発はこれからです。近い将来期待できる「粘膜免疫ワクチン」について粘膜免疫学の権威である東大医科研所長・清野宏教授に具体的なお話をしていただくことになりました。どうかご期待ください。
 会員の方々には間もなく講演会のご案内を郵送します。会費や参加費は無料です。会員以外の方々もどうか多数ご出席下さいますようお願いします。

会員の方々は次のことにご注意くださいますようお願いします。
1) 今回の講演会場はいつもの「大阪大学中之島センター 10F 佐治敬三メモリアルホール」ですが、30分間遅くに開会します。アクセスのご案内は下記をご覧ください。
2) 昨年まで、講演会のご案内に「出欠ハガキ」を同封しておりましたが、「ハガキ」の代わりにご返事の方法を変更しておりますので、次の2つのどれかでご返事ください。

a. 郵送するご案内に同封の「FAX出欠回答用紙」に記入の上、事務局あてFAXする。
b. 氏名と所属を明らかにして「kansen@ped.med.osaka-u.ac.jp」へ出欠を電子メールで知らせる。



<講演会>
日時:平成25年4月6日(土) 14:30-17:00
場所: 大阪大学中之島センター10F 佐治敬三メモリアルホール

〒530-0005 大阪市北区中之島4-3-53(Tel:06-6444-2100; Fax:06-6444-2338)
    京阪電車 中之島線 中之島駅または渡辺橋駅下車徒歩5分
    大阪市バス 53系統 船津橋ゆき 中之島4丁目下車すぐ

14:30-14:50  平成24年度採択研究課題成果発表
 小児期におけるSaffold virusの血清疫学 堺市衛生研究所  岡山 文香氏

15:00-16:00 特別講演
 粘膜免疫学を基盤としたワクチン開発への挑戦 東京大学医科学研究所所長・清野 宏 教授

 われわれの体を守る第一線の監視・防御システムとして粘膜免疫が注目されている。ヒトの体は簡単に見ると筒状になっており、口腔からはじまり、呼吸器・消化器を被う粘膜が内側を形成して常に外界に暴露されている。つまり「内なる外」を形成している。われわれは毎日食べたり、飲んだり、そして呼吸しながら、粘膜面から多種多様な異物を取り込んでおり、病原微生物の侵入にも曝されている。その粘膜で被われた組織・臓器にはユニークな粘膜免疫システムが存在している事が、1970年代からの研究により明らかになってきており、粘膜免疫学という新潮流を生み出してきた。
 粘膜免疫システムは抗原の有用性と有害性を識別し、生体に有用な食物抗原や共生細菌に対しては寛容に代表される「消極的な応答」を誘導・維持している。一方で、病原微生物に対しては「積極的な応答」を誘導して、その侵入阻止・排除をしている。つまり「口腔から始まる消化器はわれわれの体にとって最大且つ巧みな免疫システム」とまで言われるようになってきた。近年では、粘膜免疫系を介した消化管における共生細菌も含めた外部環境との共存共栄関係の構築・維持システムが再注目されている。さらに、新興・再興感染症を引き起こすほとんどの病原微生物の侵入門戸である粘膜での免疫機構、つまり、粘膜免疫を駆使した感染症制圧へのアプローチが期待そして注目され、その応用性を支持する理論的・技術基盤の確立が日夜進行している。粘膜免疫システムのユニーク性とそれを駆使した次世代ワクチンとして、医学・獣医学・農学・工学異分野交流による「経口ワクチン」開発の研究も展開されており、それら最新情報についても紹介する。

参考文献・図書
1)臨床粘膜免疫学 編集 清野宏, 2010 (株)シナジー
2)Kurashima, Y., Amiya, T., Nochi, T., Fujisawa, K., Haraguchi, T., Iba, H., Tsutsui, H., Sato, S., Nakajima, S., Iijima, H., Kubo, M., Kunisawa, J., Kiyono, H. 2012. Extracellular ATP mediates mast cell-dependent intestinal inflammation through P2X7 purinoceptors.Nat Commun. 3:1034-1038.
3)Goto. Y., and Kiyono, H. 2012. Epithelial barrier: an interface for the cross-communication between gut flora and immune system. Immunol Rev. 245:147-163.
4)Nochi, T., Yuki, Y., Takahashi, H., Sawada, SI., Mejima, M., Kohda, T., Harada, N., Kong, IG., Sato, A., Kataoka, N., Tokuhara, D., Kurokawa, S., Takahashi, Y., Tsukada, H., Kozaki, S., Akiyoshi, K., and Kiyono, H. 2010. Nanogel antigenic protein-delivery system for adjuvant-free intranasal vaccines. Nature Mater. 9:572-578.
5)Tokuhara, D., Yuki, Y., Nochi, T., Kodama, T., Mejima, M., Kurokawa, S., Takahashi, Y., Nanno, M., Nakanishi, U., Takaiwa, F., Honda, T., and Kiyono, H. 2010. Secretory IgA-mediated protection against V. cholerae and heat-labile enterotoxin-producing enterotoxigenic Escherichia coli by rice-based vaccine. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 107:8794-8799.

 当研究会は「日本小児科学会専門医制度・研修集会単位」が認定され、3単位」の取得が認可されました。入場の際、ご希望の方に「参加証(3単位)」を差し上げております。
 本年秋の講演会は10月19日(土)に阪大中之島センターでの開催を予定しております。
 ご不明の点があれば当研究会事務局「kansen@ped.med.osaka-u.ac.jp」あてに電子メールでお問い合わせください。

大阪小児感染症研究会代表世話人 大薗恵一
                                    事務局担当世話人 岡田伸太郎、上田重晴

 
 
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