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2018年春の講演会のお知らせ  <2018.3更新>※2018.4一般演題追記

 第26回講演会を、下記の要領にて開催いたします。
 特別講演といたしましては、「家庭に潜むSTI病原体」について、そねざき古林診療所 所長の古林 敬一先生にお話しいただきます。また一般演題の発表も、3題予定しております。どうかご期待ください。

 なお、本研究会の活動の更なる充実を図るため、誠に申し訳ございませんが、当日に参加費500円を徴収させていただきます。ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

 会員の方々には間もなく、講演会のご案内を郵送します。会員以外の方々も、どうか多数ご出席くださいますようお願いいたします。

 本講演会の担当世話人は、大阪医科大学の新田雅彦先生と、関西医科大学の野田幸弘先生です。

共催:大阪小児感染症研究会・一般財団法人 阪大微生物病研究会


出欠は、次の2つのどれかでご返事ください。
a. 郵送するご案内に同封の「FAX出欠回答用紙」に記入の上、事務局あてFAXする。
b. 氏名と所属を明らかにして「kansen*ped.med.osaka-u.ac.jp」へ出欠を電子メールで知らせる。
(お願い:メールで連絡を送る際には、上記*を、@に変えてお送りください。)


<<講演会>>

日時:平成30年4月28日(土)14:10〜16:50

会場: 大阪大学中之島センター10F 佐治敬三メモリアルホール

〒530-0005 大阪市北区中之島4-3-53(Tel:06-6444-2100)
京阪電車 中之島線 中之島駅または渡辺橋駅下車徒歩5分
大阪市バス 53系統 船津橋ゆき 中之島4丁目下車すぐ

<<講演要旨>>

14:30〜15:30 一般演題
@繰り返す扁桃炎の耳鼻科術前検査でHIV感染が判明した2例
  −感染制御ではなく小児科医としてのこれらの2症例の問題点−
演者 川村 尚久 先生(大阪労災病院 小児科・感染制御室)

【はじめに】大阪労災病院では手術・分娩・内視鏡検査等観血的処置を伴う医療行為を行う場合、全例に対して説明/承諾書を得て術前検査(RPR定性・TP抗体定性・HBsAg・HBsAb・HBcAb・HCVAb・HIV抗体)を行っています。院内検査でHIV(+)/(±)であった場合は検査室よりICTに報告されます。ICTよりウエスタン・ブロット法(外注)を追加指示し、主治医にICTより報告。ウエスタン ブロット法結果はICTと主治医へ報告され、真の陽性であった場合は、主治医にICTより連絡し、告知を含めてICTが介入します。
【結果】平成28年度当院の総手術件数は12,967件で、耳鼻科手術件数は586件、扁桃摘出術は88件で、術前検査で2例がHIV陽性者でした。
【症例】2症例の病歴には多くの個人情報を含み、個人が特定される可能性があるため、本抄録には記載いたしません。しかし、いずれの症例の背景にも小児科医として介入すべき複雑な問題点を有しており、本研究会で報告します。
【考案】日本国内のHIV患者は増え続けています。新規HIV感染者の多くは同性間の性的接触によるものです。急性 HIV 感染症の症状は、発熱 96%、リンハ゜節腫脹 74%、咽頭炎 70%、発疹 70%、関節痛・筋肉痛 54%、頭痛 32%、下痢 32%、 嘔気嘔吐 27%、肝脾腫 14%、体重減少 13%、口腔カンシ゛タ゛ 12%、神経症状 12%の頻度て゛認められますか゛、症状から急性 HIV 感染症を疑うことは不可能と考えられています。 診断だけでなく社会的背景についても多くの問題点を有しているものと考えます。感染制御医としてではなく、小児科医として成人HIV患者さんにどこまで介入するべきか?が挙げられます。

 

A梅毒の診断後に妊娠が発覚し、妊娠初期に母体への治療が十分に行われなかった1例
演者 青野 知紘 先生(関西医科大学 小児科学講座)

【はじめに】梅毒は梅毒トレポネーマによる性行為感染症であり、感染者との体液・粘膜を介した濃厚接触により感染する。また、梅毒感染妊婦から経胎盤感染し、先天梅毒を引き起こす。梅毒は近年増加傾向であり、それに伴って先天梅毒の症例数も増加している。今回、梅毒感染症の診断後に妊娠が発覚し、妊娠中期まで母体への治療が十分に行われなかった症例を経験したので報告する。
【症例】母は職場の健康診断で梅毒血清反応が陽性であり、梅毒の診断を受けた。その後に妊娠が発覚したが妊娠24週までは経済的な理由からサワシリンの内服が十分にできていなかった。妊娠中に胎児の異常は指摘されず。妊娠38週4日に産科に入院し分娩誘導を開始。妊娠39週4日に陣痛発来。男児、在胎39週4日、出生体重3268gで経膣分娩にて仮死なく出生。母の梅毒血清反応は初診時RPR128倍が分娩時は32倍に改善していた。児は明らかな外表奇形なく、皮膚病変など先天梅毒を疑う所見はなかった。血液検査で凝固系に異常なく、貧血も認めなかった。梅毒血清反応の結果が出るまで数日を要したため、ペニシリンGの経静脈投与を開始した。児の梅毒血清反応はRPR16倍、TPHA2560倍でありFTA-ABS-IgMは陰性であった。髄液検査でも髄膜炎や先天梅毒を疑う所見はなかった。以上より、先天梅毒の感染はないと判断しペニシリンGの投与を終了した。
【考察】先天梅毒は、梅毒感染妊婦から出生した児で@活動性梅毒を示す所見がある、A胎盤・臍帯からトレポネーマを検出、B髄液でRPR陽性、C母児のRPR抗体価を比較し児が母の4倍以上、DTPHA-IgMまたはFTA-ABS-IgMが陽性の1つでも陽性であれば診断される。しかし、確定診断に至らずとも、母体への治療が不十分な場合など先天梅毒が疑われる場合には治療を開始すべきとされているため、症例ごとに判断が必要である。また、現時点で本児の先天梅毒は否定的であるが、梅毒血清反応の推移を退院後も長期に渡って外来でフォローする必要がある。

 

B当院で経験したSTI関連症例
演者 天羽 清子 先生(大阪市立総合医療センター 小児救急科)
 Sexually transmitted infection(以下STI)は、小児科医にとってはなじみが薄い疾患群です。しかしながら、新生児に感染すると重篤な疾患を引き起こすこともあり、疑い検査をする必要があります。また、小児で診断がついた後に、その後の感染拡大や次子のためにも感染源だけでなくそのパートナーについても治療をお勧めしなくてはなりません。今回我々は、当院で経験した産道感染や経胎盤感染にて小児科医が関わったSTI関連疾患について報告します。
症例1 生後1か月の髄膜炎のない硬膜下膿瘍
症例2 生後1か月の新生児クラミジア肺炎
症例3 生後20日のHSV-2によるヘルペス脳炎
症例4 先天性梅毒疑い症例
症例5 先天性HIV感染症
 これらの症例について、疑い適切な検査をすることの重要性と、診断後に両親の検査や治療を推奨する意義についてお示しします。

 

15:45〜16:45 特別講演

○家庭に潜むSTI病原体
演者 古林 敬一 先生(そねざき古林診療所 所長)

 STI(sexually transmitted infection)クリニックでもっぱら成人を診ている私の経験が果たして小児科の先生方のお役に立てるのか、しばし悩みました。  
 しかし、STI領域の病原体と小児感染症領域の病原体には共通点が多く、性的接触以外の家庭内感染すら起こしうることに着目すれば、有用なお話ができるかも、と思い至りました。  
 その結果、何やらおどろおどろしい演題になってしまいましたが、気楽にお聴きいただければと思います。詳細を書くとネタバレして当日の話がつまらなくなるので、これで抄録とさせていただきます。

 



 ご不明の点があれば当研究会事務局「kansen*ped.med.osaka-u.ac.jp」あてに電子メールでお問い合わせください。
(お願い:メールで連絡を送る際には、上記*を、@に変えてお送りください。)

大阪小児感染症研究会代表世話人 大薗恵一
                                    事務局担当世話人 塩見正司、山本威久

 
 
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