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2023年春の講演会のお知らせ  <2023.3更新>

 第33回講演会を、下記の要領にて開催いたします。

 今回は、特別講演2演題の構成にて予定をしております。八木麻未先生(大阪大学大学院医学系研究科 産科学婦人科学)に「本邦におけるHPVワクチン」について、奥野英雄先生(大阪市立総合医療センター 小児救急・感染症内科)に「ワクチンに関するリスクコミュニケーション」についてお話しいただきます。どうかご期待ください。

 なお今回の講演会は、参加事前申込制のオンライン開催を予定しております。
会員の方々には、講演会のご案内を郵送します。会員以外の方々も、どうか多数ご出席くださいますようお願いいたします。

  本講演会の担当世話人は、大阪大学医学部附属病院の吉田寿雄先生と、大阪急性期・総合医療センターの桂木慎一先生です。

共催:大阪小児感染症研究会・一般財団法人 阪大微生物病研究会


参加申込方法

・参加希望の方は、申込メールを、事務局のアドレス【kansen*ped.med.osaka-u.ac.jp(*を@に変えて)】宛てにお送りください。
【記載事項】
・メール件名:大阪小児感染症研究会講演会(33)申込
①お名前
②ご施設・ご所属
③連絡先(電話番号と、メールアドレス)

・その後1週間以内をめどに、zoom視聴のための登録用URL情報を、事務局より返信メールいたします。
・その返信メールに記載されておりますURLにアクセスいただき、登録を完了されましたら、登録者専用の視聴用URLがzoomより発行されます。講演会当日は、そのURLにアクセスしてご視聴ください。
(本講演会は医療関係者を対象としております。知り得たURL情報は他の方に転送されないようご留意ください。)

申込メール締切【4/14(金)】の期限厳守にご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。


<<講演会>>

令和5(2023)年4月20日(木)19:00〜21:00

方法: ライブウェブ配信(zoomウェビナー)

<<講演要旨>>

19:15〜20:05 特別講演
本邦におけるHPVワクチン〜HPV関連がんの排除を目指して〜
演者 八木麻未 先生(大阪大学大学院医学系研究科 産科学婦人科学 特任助教(常勤))

【日本におけるHPVワクチンの経緯】HPVワクチンは2010年度に公費助成として開始され、2013年度に定期接種となったが、2013年6月に厚生労働省は積極的な接種勧奨の差し控えを発表した。2021年11月に差し控えの終了となったが、接種率は微増したものの再普及には至っていない。
【HPVワクチンの安全性・有効性】WHO、Cochraneなど、多くの機関がHPVワクチンの推奨を変更すべき安全性上の問題は確認できないと報告している。また、日本においても、厚生労働省の指定研究班(祖父江班)が「接種歴のない者においても同様の「多様な症状」を有する者が一定数存在した」と報告した。また、海外では子宮頸がんの予防効果がすでに報告されており(Lei J et al. N Engl J Med 2020;383:1340-8、Kjaer SK et al. J Natl Cancer Inst. 2021;113:1329-1335)、日本では前がん病変の予防効果までが報告されている。
【HPVワクチン停止世代における勧奨中止の弊害】我々は、HPVワクチン接種率が激減した2000年度生まれにおける、20・21歳時の子宮頸がん検診における細胞診異常率の再上昇を報告した(Yagi A et al. Lancet Reg Health West Pac. 2021;18:100327)。また、HPV16・18型感染率の再上昇も報告された(Sekine M et al. Lancet Reg Health West Pac. 2021;16:100300)。
【再普及への課題】積極的勧奨の再開による、 HPV ワクチンの接種率の上昇は限定的であった。さらなる再普及には、医療者から対象者や保護者への的確な情報提供に加え、対象者・保護者の間での情報の共有や拡散が重要である。

 

20:05〜20:55 特別講演②
ワクチンに関するリスクコミュニケーション
〜明日の診療から使える!説明のエッセンス〜
演者 奥野英雄 先生(大阪市立総合医療センター 小児救急・感染症内科 医長/大阪大学大学院医学系研究科 変革的感染制御システム開発学)

よい情報だけではなく、リスクについても患者個人や家族と情報を相互作用的にやりとりする「リスクコミュニケーション」は、医療現場でも非常に重要である。しかし、リスクコミュニケーションに関して研究結果をもとに学ぶ機会は多くない。今回は、AMEDの研究班で行った研究の中から、以下の3点を中心に、日常でありそうな場面を交えて、お話させていただきたい。

① ワクチンに関する副反応(副作用)について説明する重要性
新型コロナワクチンが日本国内で一般に接種開始となる直前の時期に、ある問題に関するポジティブな情報だけ伝える「一面呈示」と、ポジティブだけではなくネガティブな情報も伝える「両面呈示」の効果を比較するオンライン調査を行った。疾患自体が未知の新型重篤感染症シナリオの場合、一面提示のメッセージを見たグループでは、そののちに呈示された副反応情報で心配が大きくなり、両面提示では副反応情報を受けても接種意図が高く保たれた。
② パンフレットの研究:情報を伝えるパンフレットの効果的な渡し方
一般的に説明資料としてパンフレットを配布するだけの場合、受け取った側の満足度は上がるかもしれないが理解度を上げることにはつながらないことが報告されている。ワクチンに関するパンフレットを渡すだけではなく、母親と実際にコミュニケーションをとりつつ説明を加えた場合の効果を、生後直後と1か月健診時で比較し、態度の変化や深化を測定した。
③ 自発的思考は態度を強化する
人々が意思決定をする時に何を考えているのかについて検討することは非常に重要である。健康行動の推進(禁煙や過度の飲酒抑制)のための研究では、人々が自発的に考えたり、反論したりすることが、説得効果をより強化するという報告がある。自発的に思考することは、医師への信頼やワクチンの効果の期待を有意に高めた。

明日の診療から使える、ちょっとした説明のコツを感じ取っていただければ幸いである。



ご不明の点があれば当研究会事務局「kansen*ped.med.osaka-u.ac.jp」あてに電子メールでお問い合わせください。
(お願い:メールで連絡を送る際には、上記*を、@に変えてお送りください。)

大阪小児感染症研究会代表世話人 大薗恵一
                                    事務局担当世話人 塩見正司、山本威久

 
 
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