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<ひとことナビ> 当教室での研究内容を紹介します。【糖鎖】【抗酸化酵素】【グリケーション】【硫酸化】【臨床と糖鎖】【肝再生】 |
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細胞間認識や分化、発生時に機能する糖タンパク質糖鎖と糖鎖遺伝子によるリモデリング、特にがん転移における接着分子や増殖因子受容体の機能制御 生体内での糖タンパク質など複合糖鎖の意義が明らかになり、糖鎖生物学として注目されている。癌化に伴い著しく変化する糖タンパク質糖鎖構造の意義やその制御機構を明らかにするため、糖鎖分岐構造の決定に関わる糖転移酵素GnT-III、GnT-V、GnT-VI、 alpha1,6FT, GnT-IVの精製を行い、GnT-IXを含めた遺伝子クローニングに成功した。これらの遺伝子発現機構の解析、糖鎖遺伝子導入による癌細胞の増殖・浸潤・転移の制御、増殖因子受容体の制御、シグナル伝達系の制御、トランスジェニックマウス、ノックアウトマウスの作成を通じて糖鎖のもつ生理的意義の解明を進めている。 キーワード:糖鎖、糖転移酵素、細胞接着、がん転移、増殖因子受容体、細胞接着分子、癌細胞の接着・転移・浸潤、シグナル伝達参考和文総説 ・「糖鎖生物学」 蛋白質核酸酵素 (共立出版) 1998年12月増刊 ・蛋白質・核酸・酵素 48号、2003年 ▲TOP 活性酸素種や活性窒素種は癌化、虚血再灌流障害、老化など様々な病態に関与している。生体でこれらの防御機構に関わるSOD、グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)、チオレドキシン還元酵素、ぺルオシキレドキシン、さらに活性窒素を産生するNO合成酵素などの遺伝子発現や活性変化がこのような病態とどのように関わるかを解明しようとしている。 キーワード:SOD, NO合成酵素、チオレドキシン還元酵素、ぺルオシキレドキシン、老化、がん化、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アポトーシス参考和文総説 ・「活性酸素研究のブレイクスルー」 監修:谷口直之 細胞工学(秀潤社)1996年10月号 ▲TOP タンパク質の非酵素的糖化(グリケーション)の生体における意義と糖尿病との関連 細胞がエネルギー源として用いる血糖(グルコース)や、還元糖のフルクトースはタンパク質と非酵素的に反応してその機能を失わせたり、中間体としてジカルボニル化合物やAGEを産生し、細胞に様々な影響を与える。糖尿病時の高血糖状態や、老化のような長期のグルコース曝露によってこのグリケーション反応がどう進行して白内症や腎不全などの合併症をもたらすのか、またアルド-ケトリダクターゼによる防御機構についても研究している。 キーワード:糖尿病合併症、アルドケトレダクターゼ、ポリオール回路、グリケーション、増殖因子▲TOP 硫酸化糖鎖は糖タンパク質、プロテオグリカン、糖脂質等広範囲の生体分子に存在し、さまざまな生理機能を担っている。糖鎖の硫酸化はゴルジ膜に局在する硫酸転移酵素群(Sulfotransferases)によって行われる。我々は硫酸化糖脂質を合成する硫酸転移酵素の精製と遺伝子クローニングに成功し、そのノックアウトマウスは神経症状と精子形成の異常を来すことをあきらかにした。現在、この発症機構の分子メカニズムの解明を目指して研究を進めている。また、硫酸化糖蛋白質の生合成に与る硫酸転移酵素のクローニングも行い、新しい硫酸転移酵素ファミリーの存在をあきらかにした。この酵素が合成する3'-sulfo Le(a) あるいは 3'-sulfo Le(x)は、セレクチンと結合することから、ヒト癌細胞における挙動が注目される。 キーワード:硫酸転移酵素、硫酸化糖脂質、硫酸化ムチン、ミエリン、精子形成、がん、セレクチン参考和文総説 本家孝一、硫酸化糖脂質の生理機能−疾病との関連を含めて 細胞工学 18, 368-372 (1999) ▲TOP 糖鎖はタンパク質の翻訳後修飾をなす重要な因子の1つであるが、近年の糖鎖遺伝子(糖鎖を生合成する糖転移酵素の遺伝子)のクローニングにより、特定の糖鎖のもつ生物学的機能が細胞レベル、動物レベルで明らかになってきた。次世代の糖鎖研究としては、上述のように種々の生命現象に関わる糖鎖標的分子を同定し、分子レベルで糖鎖機能を網羅的に解析することである。臨床医学の分野においても、AFPのフコシル化やシアリルルイス抗原などが腫瘍マーカーとして用いられているが、本研究では様々な臨床医学にみられる現象を、糖鎖生物学の観点から生化学的手法によって解析し、将来の診断治療に役立つ基礎データを蓄積する。従って、臨床の教室や製薬メーカーの研究者の参入は大歓迎で、糖鎖を用いた新しい臨床検査法や治療法の開発を目指す。
キーワード:腫瘍マーカー、血清診断、レクチン、グライコミクス、腫瘍免疫、プロテアーゼ、病態生化学参考文献 ポストゲノム時代の糖鎖生物学がわかる 谷口直之 編 羊土社 ▲TOP 再生医療はゲノム医学と並ぶ、今日の日本の大きな研究テーマの1つである。近年、骨髄細胞に、多くの臓器に分化する幹細胞(Stem Cell)と呼ばれるものの存在することが、わかってきた。肝臓においても幹細胞(Stem Cell)の存在は古くから言われており、肝細胞の移植医療は実際に何例か行なわれてきた。種々の糖鎖および糖転移酵素の発現は、正常肝、胎児肝、肝癌で全く異なること、ラット肝2/3切除の実験でも糖鎖の発現が大きく変化することから、糖鎖は肝臓の再生に深く関わると考えられる。本研究では、糖鎖によるStem Cell同定を中心とした新しい肝臓の再生医療を目指す。肝臓研究、新しい技術開発に興味のある方を歓迎する。
キーワード:Stem cell、肝臓病、再生医療、増殖因子、血管新生参考文献 糖鎖機能〜第3の生命鎖〜 蛋白質核酸酵素48(6),2003 共立出版 ▲TOP |
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大阪大学大学院医学系研究科 生体制御医学 生化学・分子生物学 |