大阪大学大学院医学系研究科 予防環境医学専攻 遺伝医学講座 遺伝子学  
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研究内容:沿革・概要
■研究テーマ
哺乳動物における生理的細胞死(プログラム細胞死)と病理的細胞死の解析
多くの真核細胞は細胞内に自殺装置を備えており、必要に応じ積極的にそのスイッチを入れ死に至り、死細胞はすみやかに取り除かれる。この機構は多くの生命現象と深く関わっており、個体発生期の形態形成、成体組織の恒常性の維持、有害または不要な細胞の除去などに利用されている。この生理的な細胞死(プログラム細胞死)の一つの機構としてアポトーシス(写真)が知られているが、他の非アポトーシス型細胞死機構の関与も示唆されている。一方、細胞死制御の破綻は種々の疾患の発症につながるため、それらの疾患治療の観点からも注目されている。我々の研究室では、哺乳動物細胞が持つ細胞死機構に焦点を合わせ、それらの分子機構を分子生物学的、細胞生物学的、生化学的、遺伝学的および生体工学的手法を駆使し解析している。最近の我々の解析から、哺乳動物個体内で起こるプログラム細胞死にも、疾患に関わる病理的細胞死にも非アポトーシス型細胞死機構が深く関わることを見出しており、細胞死学の新たな展開につながりつつある。
■研究内容
各研究内容のタイトルをクリックするとそれぞれの詳細をご覧いただけます。
1)アポトーシスの解析
 Bcl-2ファミリータンパク質の機能解析
アポトーシスの主要な制御因子であるBcl-2ファミリーたんぱくは、特にミトコンドリアの外膜透過性の制御を通して機能しており、その機能の分子生物学的メカニズムの解明を目指している。
 DNA傷害、酸化ストレスや小胞体ストレスにより誘導されるアポトーシスのシグナル伝達経路の解析
核とミトコンドリアや小胞体とミトコンドリアといった細胞内オルガネラ間のシグナル伝達機構の詳細を解析する。
2)非アポトーシス型細胞死機構の解析
最近の我々の解析から、哺乳動物個体内で起こるプログラム細胞死にも、疾患に関わる病理的細胞死にも非アポトーシス型細胞死機構が深く関わることを見出しており、哺乳動物における細胞死を包括的に理解するためには、アポトーシスに加え非アポトーシス型細胞死機構の解析が必須となっている。非アポトーシス型細胞死機構の詳細な解析のため、マウス組織での解析に加え、培養細胞系を利用した解析も行っている。培養細胞系を用いた系では、オートファジー(自食)に依存した細胞死機構や他の複数の新規の細胞死機構などを解析している。
3)マウス個体内で起こるプログラム細胞死の解析
哺乳動物個体内で起こるプログラム細胞死は、個体発生期の形態形成、成体組織での恒常性の維持(新旧細胞の交替)、不要な組織や細胞の除去などに関わっている。我々は、最近これらのプログラム細胞死に非アポトーシス型細胞死機構が深く関わることを見出しており、胎盤の形態形成や小腸上皮におけるcell turnover系など幾つかをモデルに選び詳細な解析を行っている。
4)ストレス応答反応の解析
生物は、外部環境の変動に応答する仕組みを、個体の生存に必須の機構として獲得してきた。実験的に観察される、細胞のストレスに対する応答は、損傷の修復、細胞周期の停止、細胞老化、アポトーシス、非アポトーシス型細胞死と様々である。しかしながら、どのような分子メカニズムでこのような複雑な生命現象が制御され、その後、老化や細胞死といった最終的な細胞運命に行き着くのかどうかについては、不明な部分が多い。特に、細胞が受容するストレスの多寡が細胞の生死を決定していることが実験的にわかっているが、実際、どういった機構により、その情報処理がなされているのかは不明である。我々は、ストレス刺激後に見られる核の形態変化の解析から、核内のクロマチンがヘテロクロマチン様に塊状化することを見出しており、この現象を出発点に細胞内で見られるグローバルなヒストン修飾状態の変化、グローバルな転写抑制、回復機構と細胞の生死決定との関係について解析を行うと同時に、その制御因子の同定を目指して研究を行っている。
5)遺伝性神経変性疾患INADモデルマウスの解析
哺乳動物細胞は、低酸素・低グルクース条件下で細胞死を起こすが、この細胞死は虚血性疾患にみられる細胞死のモデルと考えられる。培養細胞を用いた解析からこの細胞死に、カルシウム非依存性フォスフォリパーゼ(特に、iPLA2ß)が関与することを見出し、その解析の一環としてiPLA2ß欠損マウスを作製した。iPLA2ß欠損マウスは神経変性疾患を発症することを発見し、最近、同遺伝子に変異が発見されたヒト遺伝性幼児性神経軸索変性疾患(INAD: infantile neuroaxonal degeneration)のモデルになっていることが判明した。現在、医学部・神経内科のグループと共同でこの神経軸索変性のメカニズムを解析している。
6)ミトコンドリア膜透過性遷移現象の解析
ミトコンドリア膜透過性遷移現象 (MPT)は、酸化ストレスや過剰なカルシウムにより誘導される現象であり、アポトーシス時のシトクロムc遊離のメカニズムと考えられていたが、我々が作製したCyclophilin D欠損マウスの解析からアポトーシスの一般的なメカニズムではなく、むしろ心筋梗塞や脳梗塞時におこる虚血・再灌流により誘導されるネクローシスに関与することが明らかになった。MPTはこれら疾患の良い標的であり、分子機構の解明を目指している。
■プロジェクト
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 1997-2001 CREST(JST)プロジェクト
 2002-2007 SORST(JST)プロジェクト
 2003-2008 21世紀COEメンバー
 2009- グローバルCOE「オルガネラネットワーク医学創成プログラム」の事業推進メンバー
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