大阪大学大学院医学系研究科 未来医療開発専攻 ポストゲノム疾患解析学 細胞死制御(遺伝子学)  
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1)SORSTプロジェクト
細胞死シグナル伝達分子を標的とした疾患治療薬の開発
CRESTプロジェクト(脊髄性筋萎縮症発症メカニズムの解明、1997年〜2002年の5年間)において神経変性疾患の治療へのストラテジの提示を念頭におき、ミトコンドリアをターゲットとするアポトーシス制御因子Bcl-2ファミリーたんぱくの詳細な機能解析を行ってきた結果、Bcl-2ファミリーたんぱくの機能ターゲットの一つとしてミトコンドリア膜上のチャネルVDAC (voltage-dependent anion channel)を同定し、それらの解析からVDACが神経変性疾患やがんを含む細胞死制御破綻に起因する種々の疾患の治療のための標的分子となりうることを提示するとともに、治療薬の候補としてBcl-2たんぱく由来のBH4ドメインペプチドに膜透過性を付与したtat-BH4ペプチド(※)や微生物代謝物を示すに至った。tat-BH4ペプチド分子は、我々が示してきたようにミトコンドリア膜チャネルを制御するBcl-2と同様に、アポトーシスだけでなく、虚血性疾患や神経変性疾患などにも関与することが示唆されているネクローシスをも抑制することができ、より広い疾患への適用が可能と考えられる。本研究(2002年11月から2007年の5年間)においては、これらの具体的な成果をより発展させるとともに、同様のストラテジを展開し、より多くの疾患治療標的分子および治療薬候補物質を提示することを目指している。

※tat-BH4ペプチド:
Bcl-2におるVDAC活性抑制という我々の発見に基づき、その最小機能ドメインとして、BH4ドメインを同定した(図12)。Bcl-2機能に関する我々のモデルの検証と細胞死関連疾患の治療薬の開発という観点からBH4ドメインペプチドの解析を行なった結果、BH4ドメインペプチドが細胞死抑制機能を有していることを見出した。細胞膜透過性を付与するために、HIVのTATたんぱく由来のPTD (protein transduction domain)を付加したペプチドtat-BH4は、細胞培養液に加えたり、動物の腹腔に投与するだけで、種々の刺激により誘導される細胞死やミトコンドリア脱機能を抑制しうる。疾患モデルとしてラット心筋梗塞モデルを用い、tat-BH4ペプチドの保護効果を確認した(図13)
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    2)21世紀COEプログラムプロジェクト
疾患関連糖鎖・タンパク質の統合的機能解析
いわゆるポストゲノム研究で最も重要な分野のひとつにタンパク質の機能解明がある。従来、タンパク質に付加されている糖鎖の研究は軽視されてきたが、最近、糖鎖がタンパク質の機能高度化に重要な役割を果たしていることが揺るぎない事実として認知されはじめている。タンパク質の翻訳後修飾の中で最も多いのも糖鎖付加であり、事実、タンパク質の50%以上には糖鎖が付加されている。このように、糖鎖は機能面と普遍性の両方の点で生命活動に大きく寄与しているといえる。したがって、疾患の原因や病態を明らかにするためには、タンパク質や糖鎖が生体内でどのように働いているかを具体的に明らかにする必要がある。本プログラムでは、社会的要請の高い神経疾患、感染症、がんなどの難治性疾患や糖尿病などの生活習慣病に直接関わりをもつタンパク質と糖鎖の機能を解明するとともに、これらの疾患に対する画期的なタンパク質治療薬、糖鎖治療薬の開発を目指す。また、疾患を単に個々のタンパク質や糖鎖の機能異常として捉えるにとどまらず、オルガネラ異常という視点からも捉え、将来的にはこの両者を統合して生命体システム全体の異常を明らかにすることを目指す。具体的には、神経変性疾患、タンパク質フォールディング病、がん、肝炎、糖尿病、脂肪肝などの生活習慣病と小胞体、ミトコンドリア、ゴルジ装置、細胞膜等のオルガネラの機能異常との関係を明らかにする。
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