手術が予定されている患者の血液を予め採血しておき、術中・術後にその血液を輸血する治療法です。患者自身の血液を用いるため、同種血輸血(他人からもらう輸血)に伴う感染症や免疫反応などの副作用を回避できるメリットがあります。
尚、年齢、体重には原則として制限はなし
*全身的な細菌感染患者および感染を疑わせる患者
(抜歯後72時間以内である場合は不可)
*不安定狭心症患者
*中等度以上の大動脈弁狭窄症(AS)患者
*NYHAW度の患者
1、予約
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診療科の主治医より患者に自己血採血の説明を行いオーダーを入れる
A
患者から「自己血輸血同意書」を取得
B
患者に「自己血輸血について 患者説明書」を用いてスケジュールとその他注意事項についての説明を行います
2、自己血採血実施
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予約日当日は車を運転しての来院は出来る限り避けてください。
A
予約日当日、採血前に必要な検査(血液検査など)を受けてください
昼食は必ず摂っておく。(絶食の指示がある場合はその指示に従って下さい)
B
予約時間より外来棟3階の輸血部の専用採血室にて採血を実施します。
C
問診・補液を含め約30分で終了します。
D
血液検査の結果により造血剤の皮下注射を行う場合があります。
3、採血後の注意点
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採血後には十分な水分補給をして下さい。
A 採血後なるべく車の運転は避けて下さい。
B
激しい運動や労働および飲酒は避けて下さい。
C
採血当日の入浴、シャワーは避けて下さい。
D
採血後最初の排尿は座位で行って下さい。
E
宅途中や帰宅後に冷汗、気分不良(遅発性VVR)などの症状が発生する可能性があります。(発生の際は横になり安静にすることで軽快するが安全面から付添い者同伴が好ましい)
4、その他注意事項
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必要量の自己血を貯血するには日時を要します。(採血間隔は原則として1週間以上。手術予定日の3日以内の採血は不可)
A
貧血の程度や下痢、体調不良など採血困難と判断した場合は中止となります。
B
保存中にバックが破損したり、細菌汚染により貯血した血液が使用不可となる場合があります。
C
貯血量不足の場合は同種血輸血を併用することがあります。
D
貯血した血液が過剰の場合は廃棄処分となります。
E
採血の際に血圧低下・嘔気・嘔吐などを伴う血管迷走神経反射(VVR)が起こる場合があり、処置が必要となる場合があります。
F
貧血改善の目的での鉄剤の内服で嘔気など副作用がみられることがあります。
※自己血貯血に関する詳細については、診療科にお問い合わせください
この度、日本輸血・細胞治療学会より輸血後感染症検査の見直しが提言されたことを受け、当院での運用を変更しましたのでお知らせします。