留学VOICE

2015年に大阪大学麻酔集中治療医学教室に入局しました。入局後は阪大病院や大阪府立母子医療センターで麻酔科医として臨床研修に従事する中で、集中治療医学、特に急性呼吸不全に興味を持ちました。2019年に大学院に入学し、呼吸グループの先生方のご指導のもとARDS(急性呼吸窮迫症候群)の研究に取り組んできました。大学院での研究が順調に進み、論文投稿のめどが立った折に、留学の話を頂き、アメリカに研究留学する機会を得ることができました。
大学院3年目の2021年7月に渡米し、University of California San Francisco (UCSF), Cardiovascular Research Instituteに所属し研究生活を開始しました。所属するラボの指導教授はDr. Michael MatthayというARDS/集中治療医学の分野で世界的な権威の先生です。Dr. Matthayは肺胞における肺水腫の再吸収のメカニズムを発見し、近年ではさまざまな臨床試験をリードしています。留学先では急性呼吸不全の研究に従事し、マウスの急性呼吸不全モデルを用いた実験、ヒト肺を用いた灌流実験などを行っています。得られた実験結果はDr. Matthayをはじめ、UCSFの他の研究グループや世界中の共同研究者達の前で発表し、何度もdiscussionを重ね、臨床研究のデータなどと組み合わせてHigh impact journalを狙えるレベルに高めていきます。留学では研究に集中してマイペースに働くことができる一方で、積極的に行動しないと何も得られないため、自主的に行動していく力や考える力の重要性を感じています。留学生活に関しては、家族とともに渡米し、楽しく充実したアメリカ生活を過ごすことができ、仕事面だけに留まらない有意義な人生経験となっています。
この留学の機会を与えていただき、全面的にサポートしていただきました藤野先生、吉田先生に感謝申し上げます。コロナ禍で大変な時に、快く留学に送り出してくださり、ありがとうございました。阪大病院や関連病院における臨床研修でさまざまな臨床経験を積めたことや、大学院で一から指導いただいたことが、間違いなく今の研究に役立っています。これから研究や留学を考えている先生方にこの留学だよりを読んでいただき、少しでも参考になれば幸いです。

妙中浩紀 Hiroki Taenaka M.D., Ph.D.

大阪大学大学院医学系研究科 生体統御医学講座 麻酔集中治療医学教室

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