留学VOICE

私は、2021年9月より米国ワシントンD.C.にあるChildren’s National Hospitalに研究留学しています。兼ねてより日本を飛び出して海外で生活してみたいという思いが強く、米国で生活できていることに幸せを感じながら日々を過ごしています。麻酔科医となり、阪大で最初の2年間麻酔・集中治療の研鑽を積み、3年目より2年間国立成育医療研究センターに勤務しておりました。そこで神経科学に興味を持ち、現在は米国小児病院内にある研究所で、「麻酔薬が小児発達脳に与える影響」について研究しております。はじめは麻酔関連の研究を行っている研究室が施設内にありませんでしたが、既存のプロジェクトを推し進めながら、新しく麻酔プロジェクトを立ち上げさせていただきました。ゼロから試行錯誤しながら研究を進めていくことは非常に大変ですが、とてもやりがいがあります。当施設は世界各地から高い志を持った研究者が集まっており、それぞれの研究分野について議論し、切磋琢磨できる環境もとても貴重なものです。研究室へは自転車と地下鉄を使い50分ほどかけて通勤しています。D.C.の地下鉄は比較的安全で、自転車ごと電車に乗ることができます。毎日片道15分地下鉄の駅と病院の間を自転車で滑走しており、日本ではほとんど運動をしていなかった私は米国に来て体力の向上を実感しております。米国の空は高く、青くきれいで、D.C.の街並みを見ながらのサイクリングは毎日とても心地がよいです。
文化・制度・言葉の違う社会に飛び込むことは自分が想像していた以上に苦労がありました。妻と子供3人の家族5人で協力して乗り越えてきたことは家族の絆を強くしました。普段、妻は無料の英語スクールに通い、子供たちは地元の公立小学校に通っています。D.C.ならではの国際色豊かな環境で奮闘する家族の姿にはいつも元気をもらっています。長男が本場アメリカでバスケチームに所属したり、長女が水泳や体操を習うようになると、現地のご家族と交流する機会が増えました。いろいろな方と触れ合う中で、徐々にアメリカの社会に溶け込んでいくような感覚を受けうれしく感じております。
Neuroscienceに興味を持ってから海外留学に至るまでの道中、たくさんの方々から教えや刺激をいただき目標に向かって進むことができました。元サッカー日本代表本田圭佑選手は夢実現の近道として「環境にこだわれ」という言葉を残されています。米国に移り住み、振り返ってみると、規模が大きく無限の可能性があり、志の高い医療従事者が集まる阪大は、新しい自分に気づかせてくれるすばらしい環境だったのだと感じます。そんな感謝の気持ちを持ちながら引き続き米国生活を楽しんでいきたいと思います。

大阪大学大学院医学系研究科 生体統御医学講座 麻酔集中治療医学教室

〒565-0871
大阪府吹田市山田丘2-2