感染免疫検査室の紹介

医療関係者向け

  微生物( 細菌やウイルスなど )に感染すると、 体内では微生物の構成成分や関連毒素代謝物質などが抗原刺激となって、 それらに対する抗体が作られます。 つまり、感染者の体内には微生物関連抗原と、それらに対する抗体が存在することになります。免疫学的検査とは抗原抗体反応を利用して、体内に存在する抗原や抗体を検出することにより、 直接的あるいは間接的に微生物の存在を調べる方法です。これらの検査は、主に感染症診断や治療効果判定を目的に行われていますが、 この他にも献血時や輸血後感染症の確認、 臓器移植患者やドナーのスクリーニング、 アウトブレイクや針刺し事故時における感受性者の選別、 ワクチン接種後の抗体獲得確認など多岐にわたります。
 免疫血清検査室では主に血液( 血清・血漿 )を検体として検査を行います。検出目的物質が抗原である場合は試薬として抗体を用い、抗体である場合は試薬として抗原を用います。抗原抗体反応を利用した感染症検査法の開発は日進月歩であり、その検出感度は向上し続けています。しかし、 いくら最新の機器試薬を用いても偽陰性や偽陽性は存在し、 その頻度も少ないとは言えません(偽結果の頻度50〜1000テストに1回程度 )。特に、感染症検査ではこの偽の結果が患者にとって重大な事態を招くことにもなります。検査の自動化が進む今日、 検査技師の役割はこれらの「偽の結果」を発見し、「真の結果」を報告することにあります。


一般の方向け

 人間の体には、もともと体内には存在しない異物( 細菌、ウイルス、毒物など )が侵入してくると、 それらの異物から体を守るために抗体という物質を作る働きがあります。 抗体は侵入物の一部( 抗原 )と結びつくことができ、 その結びつきは「鍵と錠」の関係にたとえられています。この現象を抗原抗体反応( 免疫反応 )と呼び、 これらの現象を利用した検査が免疫学的検査です。たとえば、体内に侵入したエイズウイルスを検査する場合、 検査試薬としてエイズウイルスに対する抗体を用いれば、検体中のエイズウイルスを直接的に調べることができます。一方、 エイズウイルスに感染したことよって体内で作られるエイズ抗体を調べても、 間接的にエイズウイルスの存在を調べることが出来ます。 この場合は、 検査試薬としてエイズウイルス蛋白を用います。
 免疫血清検査室では、 主に血液( 血清・血漿 )を検査材料として、 感染症の診断や治療効果の判定を行っています。


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