卒後初期研修そして・・・

専門医への道
 日本の医療制度においては医師はどの領域の疾患もある程度まで診ることが出来る建前になっていますが、実際には1人の医師が肝移植から出産の介助、精神科患者の治療から遺伝子治療まで行うことは神でもない限り不可能ですし、合理的ではありません。医療の高度化に伴い日本においても専門医制度というシステムが生まれてかなりの期間が過ぎました。専門医というのはある医学の領域(例えば、内科とか外科、放射線科)を専門にするという意味もありますが、特定領域の疾患(消化器疾患とか循環器疾患など)の診療を得意とする医師のことを意味します。(ただし例えば消化器病の専門医を標榜しているからと言って、他の領域の疾患の患者を診療しないという訳ではありません) 
 少なくとも日本の都市部、特に病院では大半の医師はある程度専門性を持って患者様の診療をしている場合が多いようです。例えば結腸ポリープの患者様が来院されたとしますと、その方は消化器科の医師の診断を受け、結腸内視鏡検査を受け、必要に応じ内視鏡的治療を受けることになります。たまたま来院された病院の外来に他の領域を専門とする当直医しかいなければ、その医師は診察までは行うでしょうが、専門技術を要する治療まではしないでしょう。すなわち、緊急事態でも起こらない限り、その医師がみずから慣れぬ手つきで内視鏡検査や内視鏡下切除術を行うことはないでしょう。高度化した医療ほど不成功におわることもあり、それなりの生命に対するリスクを伴いますので、それができる専門医は敬意を持って遇されます。また、専門性を活かして開業したり、大きな病院の医長、部長として、臨床家として重きをなすには医学博士号に匹敵する大切な称号と言ってもいいでしょう。 
専門医になるには医師国家試験に合格し医師免許を手にした後に、専門医としての資格(認定医・認定専門医・指導医など資格の重みや認定する組織によって呼び名はさまざまです)を取得する必要があります。例えば、消化器の認定医の場合ですと、一般研修の後にかなりの期間にわたって消化器系疾患の研修・教育に適していると専門家が認定した「認定施設」や「関連施設」に在籍し、実地にその領域の患者様の診療にたずさわり、かつ消化器疾患の知識を深める必要があります。(認定医や認定施設の要件、実際の認定施設のリストは認定する側の組織(多くは専門領域の医学会で、この場合、日本消化器病学会)の刊行物に出ている場合が多いです。この例では日本消化器病学会誌に掲載されています) 
 第一内科の消化器研究室は消化器系の専門医を志望する若い先生方のサポートを行いたいと考えています。諸君が第一内科入局後、研修に参加される関連の基幹病院はいずれも自ら指導医を擁する認定施設ないしは関連施設であり、初期研修後、消化器疾患の専門医へのキャリアづくりが直ちに開始できます。さらに研究室では可能な限り同窓の医師が勤務する病院をこれらの認定施設に含めるべく努力しています。

mailto: gastro@medone.med.osaka-u.ac.jp


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