喘息の管理|大阪大学 免疫内科

免疫疾患の診療

喘息の長期管理

重症度

臨床所見による重症度の分類(日本アレルギー学会ガイドライン、2007年、一部改変)
 ステップ1
軽症間欠型
ステップ2
軽症持続型
ステップ3
中等症持続型
ステップ4
重症持続型
症状頻度週1回未満週1回以上だが毎日でない毎日毎日
強度軽度、短い月1回以上日常生活や睡眠が妨げられる週1回以上日常生活や睡眠が妨げられる日常生活に制限
夜間症状月2回未満月2回以上週1回以上しばしば
%FEV1;
%PEF
%FEV1:
%PEF
80%以上80%以上60%以上80%未満60%未満
日内変動20%未満20-30%30%を超える30%を超える
* いずれか1つが認められればそのステップと判断する
* 重症例や長期罹患例で重症度を過小評価する場合がある
* %PEF = (PEF/predictedPEF or maxPEF): PEF(ピークフロー)は、自己測定記録を参照することができる

重症度に応じた段階的薬物療法

 ステップ1ステップ2ステップ3ステップ4
長期管理薬下記のいずれか
・ICS (low)
・Theo.
・LTRa
・DSCG
・aAllergy
・ICS (low)
不十分の場合下記のいずれかを併用
・Theo.
・LTRa
・LABA
合剤(ICS+LABA)使用可
DSCG、aAllergy併用可
・ICS (moderate)
合剤の使用可
下記を併用
・Theo.
・LTRa
・LABA
Th2Iの併用可
・ICS (high)
合剤の使用可
下記を併用
・Theo.
・LTRa
・LABA
Th2Iの併用可
管理不良のとき
・steroid内服
発作時SABASABASABASABA
* ICS: 吸入ステロイド、Theo.: テオフィリン除放製剤、LTRa: ロイコトリエン受容体拮抗薬、LABA: 長時間作用型β2刺激薬、SABA: 短時間作用型β2刺激薬、TH2I: Th2サイトカイン阻害薬、aAllergy: mediator遊離抑制薬,H1拮抗薬,TXA2阻害薬,Th2サイトカイン阻害薬

ICSのステップ別推奨量
 ステップ1ステップ2ステップ3ステップ4
BDP-H100100-200200-400400-800
FP-H100100-200200-400400-800
CIC-H100100-200200-400400-800
FP-D100100-200200-400400-800
BUD-D200200-400400-800800-1600
* 日本アレルギー学会ガイドライン、2007年、一部改変 * ステップアップ:コントロール悪いとき次のステップへ
* ステップダウン:3ヶ月以上の安定でステップを減らしてよい
* BDP-H:ジプロピオン酸ベクロメタゾン(キュバール)、FP-H:プロピオン酸フルチカゾン(フルタイドエアー)、FP-D:(フルタイドディスカス)、BUD-D:ブデソニド(パルミコード)、CIC-H:シクレソニド(オルベスコ)、FP/SM-D:キシナホ酸サルメテロールとの合剤(アドエア):単位(μg/日)、

1: 喘息コントロールの目標

日本アレルギー学会2007年ガイドラインより

  1. 喘息症状がわずか(できれば消失)、夜間症状がわずか(できれば消失)
  2. 喘息増悪の少ないこと(できれば稀であること)
  3. 喘息発作による死亡のないこと
  4. 経口ステロイド薬使用がわずか(できるだけ不使用)
  5. 運動を含む活動の制約がないこと
  6. 呼吸器機能がほぼ正常であること
  7. PEF値の日内変動が20%未満(できれば10%未満)
  8. PEF値がほとんど正常
  9. 薬剤の副作用が少ないか、あるいはない
  10. 短時間作用型β2刺激役の吸入薬をほとんど使用しない

2: GINA (Global Initiative for Asthma)2006

 良好
すべての項目が該当
不十分
週にいづれかが該当
不良
日中の症状なし(週2回以下)週2回を超える「不十分」項目が週3つ以上
活動の制限なしある
夜間早朝の症状なしある
発作治療薬の使用なし(週2回以下)週2回を超える
呼吸機能:PEF, FEV1正常範囲<80% predicted or max
喘息増悪なし年に1回以上 *1)週に1回 *2)
* 1) 喘息増悪が起きた場合は、その都度ステップ確認する
* 2) 喘息増悪が起きた週は、「コントロール不良」とする
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