骨粗鬆症|大阪大学 免疫内科

免疫疾患の診療

骨粗鬆症(Osteoporosis)

概要

骨粗鬆症は「骨強度の低下を特徴とし、骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患」と定義される。骨折や姿勢の変化による寝たきりや施設入所など「不動化(immobility)」のリスク因子であり、死亡の相対リスクを上昇させる。大腿骨近位部骨折では10%が一年で死亡するとされる。

病態は、骨形成と骨吸収のバランスの破綻による骨密度減少と酸化ストレスなどによる骨質(微細構造、骨代謝回転、微小骨折、石灰化、骨基質性状など)の劣化であり、骨強度は骨密度7割、骨質3割と考えられている。女性は閉経後のエストロゲン枯渇に伴い骨密度が減少し、本邦の人口の約1割が骨粗鬆症とされ、男女比は3:10である。加齢に伴う骨粗鬆症のみならず、関節リウマチやステロイド投与による続発性骨粗鬆症予防にも対策が必要である。

骨粗鬆症による骨折は、椎体、大腿骨近位部、撓骨遠位端、上腕骨近位部、肋骨などで生じやすく、WHO骨折リスク評価ツール"FRAX"では、10年間の骨折の発生確率が算出される。関節リウマチやステロイドは危険因子とされている。

【FRAXリンク】, 【日本骨代謝学会の骨粗鬆症に関する本邦のガイドライン】

診断

原発性骨粗鬆症の診断基準(2012年度改訂版 日本骨代謝学会、日本骨粗鬆症学会)

低骨量をきたす骨粗鬆症以外の疾患または続発性骨粗鬆症を認めず、骨評価の結果が以下の条件を満たす場合、原発性骨粗鬆症と診断する。”脆弱性骨折”とは、立った姿勢からの転倒か、それ以下の外力によって発生した非外傷性骨折をさす。YAM(young adult mean 若年成人平均値)は、腰椎では20〜44歳、大腿骨近位部では20〜29歳を基準とする。

脆弱性骨折がある場合
1. 椎体骨折(脊椎X線像の確認が望ましい)または大腿骨近位部骨折あり。
2. その他の脆弱性骨折(肋骨、骨盤、上腕骨近位部、撓骨遠位端、下腿骨)があり、骨密度がYAMの80%未満。
脆弱性骨折がない場合
骨密度(原則として腰椎または大腿骨近位部)がYAMの70%以下または-2.5SD以下。複数部位で測定した場合にはより低い値を採用する。
*
2014/Oct