先進融合医学共同研究講座
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人工股関節置換術後の術後浮腫・炎症に対する柴苓湯の有効性評価

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下肢の手術後は、術後の炎症および下肢の腫脹が大なり小なり存在します。しかし、下肢の腫脹は、鈍痛の原因となり、術後理学療法の停滞をきたす上、静脈の欝滞は、深部静脈血栓症を引き起こし、そのうちの数名が肺塞栓を起こして死にいたります。従って、術後の炎症や下肢の腫脹は出来るだけ早く消退させる必要があります。柴苓湯は、抗炎症作用、免疫調節作用、水分調整作用があることから、人工股関節置換術後の患者様に服用して頂いて、有効性について、当院整形外科の協力を得て調査をしました。

その結果、人工股関節置換術後、柴苓湯を服用すると、下腿周囲径の減少が早く、CRPの正常化が服用していない場合に比べて有意に早いことがわかりました(図1.2)

図1 図2
※図はクリックすると拡大します

浮腫は、アルドステロンの作用により、腎臓でのナトリウム再吸収が増加し、体液量が増加しておこります。柴苓湯はアルドステロンの作用を、レセプターレベルで阻害し浮腫を軽減させることがわかっています。またそれとは別に、細胞のアクアポリン作用を阻害することによって浮腫を軽減することも知られています。また、柴苓湯は、炎症性サイトカインの産生を更新するNFkBの活性を直接抑制する効果が報告されています(図3)。これらの効果によって、全人工股関節置換術後の浮腫や炎症を早期に軽減できたのかもしれません。
詳細は、Phytomedicine 2007で発表しています。

図3