先進融合医学共同研究講座
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整形外科手術前の自己血貯血時における十全大補湯の造血効果

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関節外科手術では、手術の待機期間中に、貯血法による自己血輸血を行う機会が多くなります。貯血による自己血輸血は、自分の血を使うため、感染症やCVHD(移植片宿主病)の危険がない利点がありますが、一方で、週に一度の採血により貧血が進行し、場合によっては必要な貯血量を用意できないことや、貧血の状態のまま手術侵襲を受けることもあります。十全大補湯は、病後の体力低下・疲労倦怠・食欲不振のほか、貧血に効能を持つことから、自己血貯血を行う患者様に十全大補湯を服用して頂いて、有効性について、当院整形外科の協力を得て調査をしました。
その結果、貯血期間中、十全大補湯を服用すると、有意にHb濃度の低下が抑制されることがわかりました(図4)。また、術前に服用していると、術後の貧血の改善が早い症例が多いこともわかりました(図5)。
十全大補湯は、GM-CSF(顆粒球単球コロニー刺激因子)を増加させることや、造血幹細胞を増加させることもわかっています。こうしたことから、貯血時の貧血予防・術後の貧血改善に十全大補湯が有効だったとも考えられます。

詳細は、Int J Clin Pharmacol Ther. 2009で発表しています。
基礎分野では、運動器や加齢に伴う運動器疾患に対する漢方薬の効果について研究を行っています。

図4 図5