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大建中湯の研究

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大建中湯は、漢方医学的には、冷えからくる腹痛・腹満などに用いられてきた処方です。近年、東洋医学(漢方治療)が見直され、1990年代後半から、大建中湯が、術後の腸閉塞に効果があるとの症例報告がなされ、ウサギの遊離した小腸に大建中湯をふりかけたところ、腸管の蠕動運動が亢進したことが確認されました。その結果を基に、大建中湯を術後の腸閉塞の予防内服に用いたところ、有意に術後の腸閉塞を予防することが確認され、以後、大建中湯は広く臨床に応用されています。現在では、開腹手術の術後に、全症例大建中湯を投与している施設もあります。
当研究室では、2008年度の科研費を得て行った「NSAIDs起因性小腸潰瘍に対する大建中湯の予防効果の検討」において、大建中湯を非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と同時に内服させると、炎症に関連するサイトカインの産生を有意に抑制させることを見いだしました。また、大建中湯内服により、カプセル内視鏡の小腸炎症所見も偽薬群に比べて軽度でした(投稿準備中)。

大建中湯は、免疫系細胞に影響を与えていることが予想されますが、その機序は、解明されていません。現在、当研究室では、「腸炎モデルマウスを用いた大建中湯の腸管免疫系への影響についての検討」というテーマで、2012年度の科研費を得て、研究を進めています。


大建中湯のエキス製剤 大建中湯の使用目標
※図はクリックすると拡大します