先進融合医学共同研究講座
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サフランの研究

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サフラン(Crocuss sativus L.)は、地中海沿岸を原産とするアヤメ科(Iridaceae)の多年草で、古代より西アジアで栽培されてきました。医療にはその柱頭(めしべ)を用いるのですが、1gの柱頭を得るには20〜30個の球根が必要であるため、アメリカ独立戦争までは、ヨーロッパでは黄金と同等の価格で取引されていました。
日本には江戸時代末期にオランダ船によりもたらされ、婦人科疾患(通経剤、更年期障害)に用いられてきました。江戸で蘭学を学んでいた遊佐快慎信春が考案した、「塩竃さふらん湯」は、婦人の妙薬として有名です。
現代医療においても、目の隈、月経障害、冷え、不眠など、血液の流れが悪くなった状態で惹き起こされる病状を、東洋医学では「おけつ」といいますが、この「おけつ」を改善させる薬としてサフランは使用されます。
「おけつ」は、現代生理学では、末梢循環不全と考えることができます。その原因の一つに、血が固まりやすい状態が考えられます。
リウマチ膠原病患者さんは、「おけつ」の症状を合併することが多く、また血の固まりやすさの指標であるがPF-4、β-TGを高値であることが知られています。当研究室では、このサフランの薬効に注目し、リウマチ膠原病患者さんに、サフランを投与して、その前後のPF-4、β-TGを測定しました。その結果、驚くべきことに、「おけつ」の自覚症状が改善しただけでなく、PF-4、β-TGを統計学的に有意に改善していました。

この研究結果は、日本東洋医学雑誌(2011:62巻4号, 548-555)に、発表しています。



サフラン投与後のPF-4,
β-TGの推移
サフラン 乾燥したサフランのめしべ
※図はクリックすると拡大します