非糖尿病慢性腎臓病患者における25-hydroxyvitamin D | 大阪大学腎臓内科

非糖尿病慢性腎臓病患者における25-hydroxyvitamin D

Bone 2009; 44: 678-83

Serum 25-hydroxyvitamin D as an independent determinant of 1-84 PTH and bone mineral density in non-diabetic predialysis CKD patients.

Tomida K, Hamano T, Mikami S, Fujii N, Okada N, Matsui I, Nagasawa Y, Moriyama T, Ito T, Imai E, Isaka Y, Rakugi H.

 

経口吸収される、もしくは紫外線を浴びて皮膚で産生されるビタミンDは、まず肝臓で水酸化され25-hydroxyvitamin D (25(OH)D)となります。最後に腎臓で1α位が水酸化をうけ1α,25(OH)2D (calcitriol)となってはじめて、これが活性を持つと考えられていました。よって日常臨床でもcalcitriolだけが腎不全では保険適応で計測できます。しかし、腎臓にある1α水酸化酵素は実は副甲状腺や内皮細胞、骨芽細胞などにも存在することが最近報告されています。

 

我々は、非糖尿病の慢性腎臓病ステージ3-5の患者325名で、これらのビタミンDを計測しました。25(OH)Dは実に80%の患者で充足しておらず、意外なことにcalcitriolではなく、その前駆体の25(OH)Dが副甲状腺ホルモン値及び、腰椎・大腿骨頚部の骨塩量を予測する因子であることを見出しました。25(OH)Dはその長い半減期と安定性からビタミンDの充足状態を表すと考えられており、保険適応にしようという動きがあります。我々の研究は、25(OH)Dが骨や副甲状腺の局所の細胞でcalcitriolに変換されautocrineとして働く可能性を示唆すると同時に、将来的にcalcitriolよりも25(OH)Dを計測する意義を与えました。